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ロザリオとバンパイアSeasonII 6巻:「萌え」だけではないんだよ!

ロザリオとバンパイア season2 (6) (ジャンプコミックス)

ロザリオとバンパイア season2 (6) (ジャンプコミックス)

今月の新刊に「ロザリオとバンパイアSeasonII」の6巻が出てることを知らず、この前ようやく気づいて買ったらおまけで萌香さんがこんなことを呟いていました。



読者からのファンレターで、「ロザバンて萌えマンガですよね」「でもいまいち萌えません」などとダメだしされてアンニュイな萌香さん(=作者の池田先生)。そんな萌香さんのため息に「萌えるけど萌えマンガじゃないって思うよ!」と、ひとつの「物語」としてロザバンをレビューしたいと思ったので新年最初のまともな更新。

ロザバンの持つテーマ性

ロザリオとバンパイア」は、月刊少年ジャンプ掲載時から一貫したテーマを持っている作品だと思います。それは、「SeasonII」の5巻で月音が「御伽の国」の支部長に対して叫んだこのセリフです。



「人間と妖怪との共存」―――現実に置き換えるならば、「国と国、文化と文化の共存」といってもよいのではないかと思いますが、そこがこの作品のテーマとなって、物語全体を貫いているように感じます。

難しいテーマですし、物語においても*1現実においてもたやすいものではないです。直球だけでは描きにくいテーマですが、そこに青野月音という少年の成長物語と彼を中心としたラブコメを核として持ってくることで、読みやすさが格段に増していると思います。月音と女の子たちとの交流を中心に描き、彼らの仲良く過ごす様を理想として、彼ら自身がこれからの世界がそうであるようにしていきたい―――そういう気持ちが作品の中でリアリティを持って伝えてくるのは、そこにテーマがきちんとあるからです。

平穏な日々と迫る危機

「御伽の国」と激しい戦いを繰り広げた5巻とはうってかわって、6巻ではどちらかというと学園の中で、大きな事件はなく、その中で絆を深め合っていくエピソードが中心です。新キャラの黄芳芳とその姉*2が引っかき回す役割を担ったことで、萌香の妹・心愛が出た時以上に明確にそれぞれのつながりが描かれるようになったと思います。
そしてそんな中で、萌香の封印にまつわる重大な問題が明らかにされる――深めた絆で、どう立ち向かっていくかという、少年マンガ的王道に沿った展開が楽しめる、そんな1冊となっているのではないでしょうか。

まとめ

「物語」として見た時瑕疵がない作品だとは思いませんが、舞台設定も含めて、作品のテーマがそこにきちんとあるからこそ読み込んでいける楽しさがある作品であると思っています。エロあり、萌えあり、燃えもあり。ちょっと魔法先生ネギま!に通じる面もある気はしますが、池田先生はかなりこだわって描いてると思われる描写がたくさんありますので、手軽に楽しく、でもテーマを感じながら読むのがいいのかなと思います。

*1:簡単に実現できますが、簡単にしてしまうとそれは陳腐なものとなります。

*2:キョンシー