明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

2013年に読んだ本のおすすめ まとめ

というわけで、毎年の恒例、読んだ本のなかでおすすめ本を紹介するエントリです。
今年はあまり新規に手を出せなかったように感じていて、というか、なかなか本を読む時間が確保できなくなってきてきついなあと。
昨年に引き続き、公式サイト等のあらすじを引っ張ってご紹介していきたいと思います。

櫛木理宇ホーンテッド・キャンパス角川ホラー文庫

八神森司は、幽霊が「見えてしまう」体質の大学生。片想いの美少女こよみのために、仕方なくオカルト研究会に属している。ある日オカ研に、女の顔の形の染みが、壁に浮き出るという悩みが寄せられ……。

まずは角川ホラー文庫で昨年始まった「ホーンテッド・キャンパス」シリーズから。6月にエントリを起こしましたが*1、その後4巻が出てさらに安定的におもしろくなってきました。
「視える」体質のヘタレ主人公・八神森司くんと霊に狙われやすい片思いの美少女こよみちゃんを巡るラブコメ的バタバタと、彼らが巻き込まれる心霊体験的ミステリーは、巻を重ねるにつれキャラクターの魅力でさらに輝いているように思います。
一個の青春物語としてもおすすめです。心霊的にはそこまで怖くないと思いますが。

あと4巻のラストとかマジ必見です。あれを外堀を埋める、という。

ホーンテッド・キャンパス (角川ホラー文庫)

ホーンテッド・キャンパス (角川ホラー文庫)

伊坂幸太郎「バイバイ、ブラックバード双葉文庫

星野一彦は〈あのバス〉で連れていかれる事が決まっており、体型から態度まで何もかもが規格外の繭美に監視されていた。

星野は五股をかけており、連れていかれる前に5人に別れ話をしに行きたいと頼んだ。幼少期に母親が出先で交通事故に遭って死んでしまい、待たされることの心細さを身を持って知っていたからだ。仕方なく繭美が仲間に確認すると「面白そうだから」と言う理由で許可が下り、繭美は仕方なく星野に付き添う事になった。だが星野は〈あのバス〉で連れていかれる事を相手に言いたくないと言い、代わりに繭美と結婚するからという理由で5人に別れ話をしに行く事になった。

なんというハーレム。
じゃなくて、主人公の星野一彦はなにかやらかして連れて行かれることになり、繭美というなんともいえぬすごさの女の人に監視されながら、5股かけてた5人の女性1人1人にさよならをつげに行くという謎展開が織りなす物語が、あまりにもおもしろくておもしろくて。
そして読みながら、今時のラノベにあふれているハーレム展開の行く末の一つになりそうだなあと思って、ちょっと背筋が寒くなったり。
また、『辞書』がキーアイテムになって最後につながるのがnice!でした。

米澤穂信「折れた竜骨」創元推理文庫

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。
自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン
)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年――そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ?魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?

2011年に日本推理作家協会賞を受賞した米澤ミステリが今年文庫に…!ということで。
今まで読んできた米澤作品とはうってかわって、魔法が存在する十二世紀のヨーロッパを舞台にということで、最初は意表を突かれるというか、正直面食らいましたが、しかし魔法があれば完全犯罪なんて楽勝と思わせつつ徐々に犯人に迫る様は圧巻の一言です。
また、主人公のアミーナがとてもいいキャラしてて、惚れそうでした。
上巻でも前提が覆される先の読めないミステリ、おすすめです。

結び

十二国記はこんなまとめエントリでおすすめするまでもなくおすすめなのでやめて上記の3つになりました。
近年、本屋に行ってもなかなか新しい本に手が出なくなったなあという印象ですが、来年はちょっとずつ読めたらいいなあと思っております。
今年もお付き合いいただき、ありがとうございました!