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ハヤテのごとく!558話:「1/16」がもたらしたもの

ハヤテにおける「見開き」

ハヤテのごとく!」という作品において、見開きを活用したコマ割りがとても大切に使われていることは、論を待たないと思います。たとえば、あたしが真面目に感想を書いていた*1100話前後から200話あたりまでに限定しても、98話*2や116話*3など、主に「(サブ)ヒロインが恋を自覚する」など、個々のキャラクターがそれまで状況や心情から1歩踏み出すような、重要な局面で使われてきました。あの頃、「各キャラにつき1つ見開きがあるのではないか?」という話題もあったような、なかったような。ともあれ、そういった大事な使われ方をしてきました。

懐かしい展開からの大展開

冒頭から「ハヤテのごとく!」における見開きについて書いてきましたが、今週のサンデーに掲載された「ハヤテのごとく!第558話『THANK YOU, BABY』」に見開きがあった訳ではありません。
先週の引き――マリアさんがナギに「楽しいことをしよう」と提案した結果が今週の冒頭。三千院*4で釣りをし、ギャグマンガらしさあふれ、なつかしさにあふれた展開をしました。

しかし、その次のページをめくったとき、手が止まりました。そこには、あえてほとんど背景が描かれていない1ページの中で、マリアさんが「楽しかった。」と言いながら笑顔を浮かべていました。
白いページに、楽しかった、と笑顔を見せるマリアさん
意味深でした。ただただ意味深でした。
もともと描き込みの多い作品で、あえて背景を欠落させているのです。何かあるに決まっています。
その後ナギのモノローグで時間が進み、ハヤテの誕生日がある11月をすべてスキップしてナギの誕生日を迎え、そしてその翌日、マリアさんは手紙を残して姿を消す―――。

558話がもたらしたもの

今回は、ナギにとってのこれまでの日常を一変させるための重要な回でした。最終章の開始直後、ナギが「王族の庭城」へ至って「今まで通りの日常」を再現していることが示唆されていますが、そこに至る大事なキーポイントであろうといえます。今回以降、物語は佳境を迎えることは間違いありません。
それは今後の楽しみと言えますが、それにしてもマリアさんです。
あの白背景の1ページは、完全に「ナギにとっての思い出の1枚」になるであろうものでした。マリアさんの見開きは12月24日だろう、などという予想は一応まだ可能ですが、それはそれとして12月24日という作品で最も重要視されてきた日付を前に、このような形でマリアさんを印象づけて姿を消す、ということはまったく想像もしていませんでした。
また、すでに書きましたが、あの1ページ以降はほぼナギのモノローグで進みました。時間も進みました。ナギの誕生パーティーですら1コマでした。ナギが喫茶どんぐりで稼いだバイト代でハヤテにプレゼントするというフラグは回収されたのか、細々とした疑問を覚える間もありません。
1話16ページ。その中のたった1ページで「ハヤテのごとく!」全体の潮目が変わった、あたしはそう感じました。

最終章。間延びせず一気に駆け抜けてしまいそうな、そんな気がしてきます。
来週に期待です。

*1:最近のはちゃんと覚えていない

*2:10巻2話「THE HEADY FEELING OF FREEDOM」

*3:11巻9話「夢の中より夢のよう」

*4:85話(8巻11話)「昔、魚は釣りバカ大将みたいに釣るのが普通だと思ってました」で登場した湖。夕飯のおかずが決まるという設定は未だに生きてたことが今回判明し驚愕。