畑先生、ご結婚おめでとうございます!!
昨夜、いろいろ疲れ果てて寝ている間に、我らが畑健二郎先生が朝風理沙役かつ『それが声優!』の原作であった浅野真澄さんとご結婚なさったとの報告をされていたようです。
結婚しました。相手は声優の浅野真澄さんです。詳細は先程、彼女がラジオ『週刊マネーランド』で語った通りです。
— 畑健二郎 (@hatakenjiro) 2018年2月12日
僕の方は今週の水曜日から少年サンデーで新連載『トニカクカワイイ』が始まります。彼女に応援されながら、二人でしっかりと歩んでいきますので、今後ともよろしくお願いします。
『週刊マネーランド』で発表しましたが、ちょっと前に結婚しました。お相手は漫画家の畑健二郎さんです。詳細はラジオで話したのでよければそちらで。彼の新連載も今週からサンデーで始まりますし、彼を応援しつつ私も変わらず自分の仕事を頑張ります。今後ともよろしくお願いします。#マネーランド
— 浅野真澄@あさのますみ (@masumi_asano) 2018年2月12日
改めまして、畑先生、浅野さん、ご結婚おめでとうございます!!
今後ますますのご活躍とおふたりの幸運を祈念しております。
それにしても、新連載が始まる週の頭というタイミングでの発表に、畑先生の畑先生たる所以を感じずにはいられません。宣伝としては最高のタイミングですね…。久米田先生がいじりそうなニオイがします。
22:20追記:まさかのキャラ名を間違えていたので修正しました。大変失礼いたしました。朝倉って音夢だろ(異論は認める)
もやもやが残る『ベイビーステップ』の「終了」
昨日も書きましたが、2017年は読んできたものが「完結」したものが多かった年でした。特に週刊少年誌での「完結」については、きちんと物語を終わらせることができる事の方が少ない(途中で打ち切られることが少なくない)わけで、長年続いてきた作品の「完結」は価値が高いと思います。
さて、週刊連載の中でもトップクラスに好きな『ベイビーステップ』が、今月発売された47巻をもって終了しました。本誌で終了が告知されてから、ずっと「なぜ」と思ってきましたが、結局もやもやしたままです。47巻のあとがきにて、勝木先生が「事情もあり」と書かれていることから、どちらかというと円満終了というよりは、苦戦しての着地というほうが正しいようにも思いますが、それはそれとして、自分の中で『ベイビーステップ』の物語に区切りをつける必要があるだろうとテキストを書いています。
そんな気持ちを読み取っていただけたら幸いです。
エーちゃんのサービスで終わるべき時期ではない
『ベイビーステップ』の最終回は、ATP250のアトランタ大会の本戦1回戦でセンターコート、人気急上昇中の相手*1との対戦で、第1セットをまだ1ゲームも取れていないという状況の第4ゲームの最初のサービスで終わります。
このシーンを読み、マガジン本誌掲載時に思い、単行本で読んで改めて感じたことは、「エーちゃんのサービスで物語を締めるならば、このタイミングではなかったのではないか?」ということでした。『ベイビーステップ』という物語は、構造上、基本的に終わろうと思えばいつでも終わらせられるようになっています。その理由は、この作品が持つ「丸尾栄一郎という少年がテニスに出会い、そのテニスに対して自らが立てた目標に向かって一歩一歩進む」という作劇上の大きな軸にあります。「一歩一歩」というのがポイントで、その時点の目標に到達し、次の目標ができればそこで終わらせても大きな違和感は残らないのです。
たとえば、全日本テニス選手権です。エーちゃんは、全日本ジュニアでの敗戦以降もプロをあきらめきれず、「全日本テニス選手権で平均的なプロと遜色がないことを証明する」ことを一時目標にしていました。*2ですので、全日本テニス選手権でタクマに勝ち、ベスト4までいった時点でこの目標は達成したことになりますし、実際にその結果をもって高校卒業と同時にエーちゃんはプロになりました。
この時点で、たとえばグランドスラムなりマスターズなりの場面まで時間をスキップして、エーちゃんにサービスを打たせれば(今回と同じ結末にすれば)、おそらく「プロになってからも読みたかったな〜」と思いながらも、ある程度の納得感と満足感が得られたのではないかと思うのです。なにしろ、タクマに勝ったのです。練習でさえ一度も勝てなかったタクマに勝ったのです。大きな壁だったタクマに勝ったこと、それは『ベイビーステップ』において、とても大きな事でした。勝ったからプロになったのですから。それほどまでに、全日本テニス選手権は大きかった。だからこそ、全日本のあとで今回のような終わらせ方をしたとしても、これほどまでももやもや感はなかったでしょう。
今回は違います。
今回の最終回告知時点は、チャレンジャーで優勝し、「チーム丸尾」を立ち上げたばかりというところでした。しかも、新コーチに対し、短期の目標として「ATP250アトランタへのストレートイン」と、長期の目標として「グランドスラム本戦出場」を掲げたばかり。つまり、ATP250は最終到達点ではありません。現実にATP250本戦に立つことがどれほど難しいかということはもちろんわかりますが、しかし本作においてATP250は通過点に過ぎないはずです。丸尾栄一郎というテニスプレイヤーが目指しているのはグランドスラムであるということは、本人も明言しているではありませんか。
にもかかわらず、ATP250の本戦初戦を前に高校時代のライバル達がこぞってメッセージを送り、エーちゃんがこれまでを振り返るのです。そして、その初戦のサービスで終わる———。
ものすごい不完全燃焼感です。これがせめてATP500だったら、いや、マスターズだったら。それならばまだ納得感があります。繰り返しますが、ATP250の本戦に立つこと、そのこと自体のすごさを否定するつもりはありません。現実に日本人がATP250の本戦にどれだけ立ったのか。実際、日本人でATP250を優勝したのは3人*3にすぎません。すごいことです。ですが、これまで『ベイビーステップ』が積み重ねてきた物語として、ATP250の場に立つことがすごいということと、ATP250が最終回にふさわしい場であるということは、両立しません。
なぜ最終回がATP250アトランタなのか———それは、『ベイビーステップ』の物語のもう1つの柱である、「ナツとの関係の発展」以外の答えしかありません。
ラブコメとしては非の打ち所のない終わりだった
『ベイビーステップ』の物語の軸の1つとして、「エーちゃんとなっちゃんの恋愛」は欠かすことのできないものです。出会いこそよくありませんでしたが、テニスというスポーツを通じて打ち解け、お互いを思い合い、支え合い、関東ジュニア大会で晴れて恋人になりました。その後もお互いを思いやる、苦手を補完し合って高め合っていく関係が積み重なっていく様子はいじらしく、そして貴重な青春でありました。もっとも、お互いを尊重して高めていったその結果が、ナツがアメリカの大学行きを決めて遠距離恋愛となるということでしたが、2人とも世界を飛び回るテニスプレイヤーになるということならば、それすら大きな障害ではないであろうと思われました。
1年の会えない時間に2人なりの積み重ねがあり、そして最終回の再会に結実するその様は、間違いなく恋愛マンガとしては最高の結末と思います。最後にナツがマーシャと初めて会ったときには、もう正妻の余裕すら感じられます。どんな障害があっても負けない、絆としか言い得ないようなものがエーちゃんとナツにはありました。
「エーちゃんとナツの恋物語」は、間違いなく区切りがついている。そう言い切れると思います。そして、その区切りと『ベイビーステップ』の物語の終わりを一致させるために選ばれた舞台がATP250だったと、そう思えば今回のタイミングに納得がいくのです。
しかし、恋はこの物語の終わりにふさわしいものだったのでしょうか?
これは「完結」ではない
『ベイビーステップ』の始まりは、とても地味でした。ずっと壁打ちしている回すらありました。それが、エーちゃんという少年マンガらしからぬ「きまじめ」な主人公によって、1歩ずつ段階を進めてプロまでたどり着くサクセスストーリーになりました。この物語をリアルタイムに読むことができたことには、感謝しかありません。
だからこそ、終わりはふさわしい場であってほしかった。
『ベイビーステップ』は、プロにならなかった未来すらあり得た物語です。エーちゃんには、プロをあきらめてナツに帯同する戦略コーチとしての未来すらあり得ました。それが、エーちゃん自身がプロになり、チャレンジャーの優勝まで果たしたのです。
だからこそ、ATP250ではなく、もっと上のレベルの大会で最終回を迎えてほしかった。せめて、公式戦で一度も対戦のなかった池と対戦するか、全日本ベスト4でぼろ負けした門磨との再戦は果たしてほしかった。
それが、ずっと『ベイビーステップ』を読んできた一読者としての素直な気持ちです。
47巻の帯には「完結」と書かれていましたが、「完結」という2文字は到底受け入れられそうにありません。何度読んでも、「俺たちの戦いはこれからだ」という結末としか感じ取れませんでした。それが、とても悲しいです。最近ラブコメばかりになりつつあるマガジン編集部は、もっと考えるべきことがたくさんあると思います。
おわりに
つらつらと批判的な思いを書き連ねてきましたが、『ベイビーステップ』は本当におもしろいマンガです。そして、おもしろい、だけではありませんでした。エーちゃんがテニス素人だったからこそ、あたしたち読者は『ベイビーステップ』を通じてテニスのルールを知り、テニス観戦の楽しさを知ることができました。テニスのランキングについても少し詳しくなることができ、マスターズやグランドスラムの中継を見て、楽しめるようになりました。2014年の錦織圭全米準優勝という、リアルがフィクションを追い抜くような一大トピックがあっても、リアルに裏打ちされたこの物語はなお輝いていました。すばらしい時間でした。
10年という決して短くはない時間、週刊連載という過酷な媒体でテニスマンガの新境地を切り開いてきた勝木先生。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
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昨日、年内最終更新だと言ったな…。あれは…嘘だ…ッ!
2017年に読んだ本のおすすめ
というわけで、年末恒例の「今年読んだ本の中でおすすめのものを紹介する」記事でございます。
2017年は、一昨日更新した『アルスラーン戦記』や『ハヤテのごとく!』をはじめ、多くの長期連載やシリーズが終わったこともあり、寂寥感のある年末だったなあという印象を禁じ得ません。
香月美夜『本好きの下克上』
本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第一部「兵士の娘I」
- 作者: 香月美夜
- 出版社/メーカー: TOブックス
- 発売日: 2015/02/27
- メディア: Kindle版
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主人公の「本さえあればいい」という思考には大変共感するところですが、異世界に転生し、本のない世界で本を作ろうとするバイタリティと、現代日本で本を読むことで得た知識をそのために惜しげもなく注ぐあたりはとても真似できない…。そういった主人公・マインの行動力と、幼女が大人と丁々発止のやりとりを繰り広げるといった描写が、何とも言えぬ本書の魅力だと思います。
その厚さと分量に圧倒されるかもしれませんが、本が好きな人にはたまらないと思いますので、ぜひ!
あたしも早く、新刊(第4部1巻)まで追いつきたいところです…(あと5冊?)
高田大介『図書館の魔女』
- 作者: 高田大介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/04/15
- メディア: 文庫
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上橋菜穂子の『守り人シリーズ』などのファンタジー作品にも通底するものがあると思いますが、本作も「きっちり構築された独自の世界」の中で、人々を描くということが高いレベルでなされていることに感服しました。
そしてその中で、マツリカ様の「話せない」設定とそれによる「手話」という要素が、作品をさらに強力にしているように思います。さらに、キリヒトの隠された設定の明かし方やその後の様々、未来を思うエンディングなど、先々を気にさせつつ見事なまでに書き切っているところが本当にツボでした。
メフィスト賞受賞作は好みが割れがちな面がありますが、好みにあたると本当におもしろくて止まらないことを久しぶりに実感させてもらいました。
米澤穂信『米澤穂信と古典部』
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2017/10/13
- メディア: Kindle版
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10月に発売されてからなかなか手に入らなかったのですが、それもそのはず、12月で4版…!なるほどなかなか見かけないわけです。
内容はインタビューや対談、交流のある方からの質問と新作短編となりますが、新作短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」がもうすごいよかったんですよ。『ふたりの距離の概算』で登場した後輩・大日向さんが話の端緒になっているあたり、もう時系列的にどこの話なんだみたいなところはありますが、それはそれとして大日向さんの持ち込んだ1冊の文集から奉太郎が徐々に追い詰められていく様子、そしてなぜ追い詰められているのか?といった謎にドキドキしているところに、古典部の誰かが謎を解いていくというその一連が最高に楽しかったです。
そして、ちゃんと完結まで書いてくれるという活字を見てとてもうれしくなりました。楽しみにしています。マジで。
井上真偽『探偵が早すぎる』
- 作者: 井上真偽
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/05/18
- メディア: 文庫
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まるで本格にケンカを売っているかのような設定ですが、ミステリだものありだよね、という。そして、父親の死により莫大な遺産相続をした女子高生が、その遺産を狙う一族に殺されそうになる———という横溝的冒頭がミステリっぽいなーと思った後に、怒濤のような「事件発生前の解決」が起こるという展開に目が回りそうになります。だが、それがいい。
市川哲也『名探偵の証明』
- 作者: 市川哲也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2017/12/11
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30年前に一世を風靡した名探偵・屋敷啓次郎が、現代になって現代の名探偵・蜜柑花子と対決するという骨格の中に、「名探偵とは?」とか、「探偵として生きるとはどういうことか?」といった新本格的な疑問を呈しつつ、結末へ収斂していく様は圧巻の一言です。
単純にどんでん返しものとしてもすばらしいので、ミステリ好きに読んでほしい1冊です。
栗山ミヅキ『保安官エヴァンスの嘘』
- 作者: 栗山ミヅキ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/09/29
- メディア: Kindle版
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- 作者: 栗山ミヅキ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/12/29
- メディア: Kindle版
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西部最強のガンマンである保安官エヴァンスは、実はモテたくて保安官になったんだよ…!というホットなギャグのスタートから、お互いまんざらでもない関係の女賞金稼ぎオークレイと繰り広げるすれ違いラブコメは、ついつい読み進めてそして笑ってしまうこと間違いなしです。
ハヤテ終了後の、あたしがサンデーを買う唯一のモチベーションと言っても過言ではない…!
ほんと、最近のオークレイがマジでかわいくて困ります。早くくっつけばいいのに。
おわりに
以上でした。
今年もなかなか読めず、活字欲求を小説家になろうで晴らすような感じになり、結構最近のなろうトレンドに詳しくなった1年でした。婚約破棄から始まる系のトレンド、すごく楽しいです。
冒頭でも書きましたが、今年は本当に「読んでいたものが終わる」年で、とても寂しい一方、来年は早々に「カードキャプターさくら クリアカード編」のアニメが始まるなど、今が何年かよくわからないけど楽しみ!みたいな話題も多いので、また新たな出会いを求めて本屋さんをうろうろしたいと思います。
それでは皆さん、よいお年を!
31年の時を経て迎えた万感の結末
アルスラーン戦記が、完結しました。
- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/12/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ともあれまずは、途中の長い長い中断や版元の変更などの多くの困難を乗り越え、アルスラーン戦記が無事に完結・刊行されたことに、田中芳樹先生への感謝を申し上げるとともに、らいとすたっふの方々や出版関係者の方々へお祝い申し上げます。
さて、あたしは、昨年発行された15巻でのとある主要キャラの死に対して、その必然性の薄さ(死亡フラグの立て方)への怒りと戸惑いをまとめたエントリを書きました。
それからまた時間が経っても、15巻に対してどうしてもポジティブな気持ちを持てていませんでした。
そういったこれまでも踏まえて、完結巻である16巻の感想を書いていきたいと思います。
ネタバレですので、くれぐれもご注意ください。