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ハヤテのごとく!第184話:力があれば変えられる?

先週はお休みしてしまってすいません。
さて、前回のハヤテ、衝撃の告白からまた時が過ぎた今週のハヤテのごとく!第184話「THE END OF THE WORLD 7 左手に愛を誓い」の感想を綴っていきたいと思います。

力があれば人は変わる。変えられる。

これは冒頭のハヤテのモノローグですが、このときはこの言葉を信じていんだなあということが伝わってきます。この「変わる」とか「変えられる」という言葉は特に今回かなりキーポイントになる言葉だなあという感じです。正確に言うと、これまでの過去編の展開を受けてハヤテが考えた結果を表現する言葉、といえばいいのでしょうか。
今回の中盤になりますが、ロリ泉から福引き券をお礼にもらったハヤテが福引きに挑戦して見事撃沈→あきらめかけるというシーンで、

「ここであきらめたらまた何も変えられないじゃないか!!」

とハヤテが考えるのが象徴的かなと思います。絶望して、あきらめて逃げ出した自分。そして「王族の庭城」でアーたんと出会い、力を身につけつつある変わった自分。そんな自分の変化を感じたハヤテが、ここであきらめずに「アーたんと一緒に街に降りる、そして親も変えて幸せになる」というハヤテの意思をこの言葉にすごく感じました。
もっとも、あたしたちはこれがハヤテの「過去」で、結局身につけた力ではアーたんと一緒に街に降りることも親を変えることも叶わないということを知っているわけですが。

アーたんを幸せにするもの

前回のラストでハヤテが城を出ようと言い出した後、の光景が今回出てきました。どうみても夜ばいです、というツッコミを受けまくっていた前回ラストでしたが、その後行為に発展する訳はなく、普通にその理由を問いただされる展開でありました。その中にこんなセリフ。

たしかにこのお城にはたくさんのものがあるよ。
みんなが憧れるたくさんのものが。
(中略)
けど…

みんなが憧れる、たくさんの「モノ」に囲まれ、豊富な時間とそして特別な力。そういったものに囲まれているけれども、それは






そこで暮らすアーたんを幸せにしているわけではない。

おどおどしているようでハヤテくん、実は結構見ているものなのですね。「天球の鏡」を初めてハヤテに紹介していた時のアーたんの表情を思い出します*1。アーたんは少なくともハヤテが来るまでは孤独を味わってきたのでしょう。このお城で。でも、その孤独を癒すことがアーたんが幸せになる道かというと、そうでもなさそうだなという感じでもあります。
というのも、ハヤテがあきらめないことを決めておつかいをこなしている描写が続いた最後のコマで




こんな新聞記事が出てきているわけですよ。この見出しをみると、どう考えたってやっぱりアーたんは大金持ちのお嬢さまです。行方不明になったのがいつか、といったものは伏せられていますが。で、この行方不明というのが自発的なもの(=家出)であれば天王州家に対してアーたんは何らかの不満があって出てきたことになります。そしてそれが意味するところは、孤独であっても自分の家には戻る気がないということです。
そのあたりの事情が過去編で明かされることはないでしょうが、現在に戻った後で、アーたんが再登場したときに明かされることを期待したいなあと思います。

指輪を贈るという行為

ハヤテが必死になっておつかいをしたのは、指輪という「プレゼント」を贈ることで「甲斐性問題」をクリアするためでした。



このセリフ、どう読んでもプロポーズです。まあハヤテはこのときそのつもりで言ったんでしょうが、これ6歳児のセリフじゃないよなあ…。いずれ、大人用ではめられないというツッコミを受けますが、最後にはアーたんからも大人用の指輪が渡され……って何、成立するのこれ!?もう!!うらやましいなあ!!

失礼しました。いえ最近…ほら。あたしもそろそろ結婚を意識する年頃なんですよ、ええ。

それはさておき。この後のアーたんのセリフが、久しぶりに「ハヤテのごとく!勘違いスパイラル」のトリガーとなりました。



きっとアーたんは、この言葉を「この場所で一緒に」と言ったのでしょう。でも、「変えられる」ことを信じていたハヤテはそうは受け取らず、父と母の元に戻って説得するという選択をし、飛び出していく。


これが、ハヤテとアーたんを別つ最後のトリガーのようです。いよいよ過去編も終わりが近いですね。


今週はなんだか教育的な感じ。

今回読んでて思ったんですけど、「力があれば変えられる」とか、「みんなが憧れるたくさんのものがあるけどそれは幸せにしていない」とか、なんとなく教育的、といえばいいんですかね?そういう感じを受けました。ギャグマンガらしくないぞ!ってw
力があれば変えられるなら、じゃあ力がある人に試験の結果を合格に変えてもらっていいのかとか、そういう詭弁的な使い方もできますが、そうではなくこの後の挫折も含めて、「力があれば変えられる」なんてまやかしだよー、と言いたいのかなあ?と思ったりしつつ、それもなんだかなあ。後半はまさに豊かさの定義とか、戦後日本の問題みたいな方向に話がつなげれちゃうよなあ。うーん。そういう風に読み取ってしまうあたしの問題でもあるけれど、そう読めてしまうのもなんとなくうーん。複雑な心境です。ハヤテってあんまりそういうの向いてないと思うんだけどなあ。少年誌だけど。

まとめ

さて、今回は過去編で感じた現在のハヤテとの差異を埋める回だったのかなと思います。この挫折の結果として現在のハヤテ、というのは(女の子がらみを除けば)それなりに納得のいくものではあるかな?と思った次第です。
いずれ次回、長くとも次々回で過去編も終わるでしょう。この過去編が今後の展開にどう影響するのかが楽しみになってきた今週でした。

*1:181話ですね。