明日はきっと。

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テニスマガジン10月号の「ベイビーステップ」特集からベイビーステップを読む - 2

テニスマガジン10月号の「ベイビーステップ」特集からベイビーステップを読む - 1 - 明日はきっと。の続きです。

前回を簡単にまとめると、「テニス専門誌が『ベイビーステップ』のリアリティに迫る記事をちょっと前に書いてたのを紹介しているよ!」というものです。
で、前回の記事ラストにも書きましたが、この特集記事はあと4ページ分あって、今回はその残り4ページのうちの2ページを中心に取り上げたいと思います。具体的には、「『細部のリアル』のリアリティー」という検証記事と「『ベイビーステップ』の秘密」という記事のうちの後者のほうです。
なお、前者のほうはテニスプレイヤー向けの記事に近しい内容ですので、もし今テニスをしている、という方はぜひご一読ください。なんでも、このテニスマガジン10月号の巻頭特集は「ミスを減らす最新トレーニング」で、エーちゃんが単行本2巻(#14)でやったコントロールトレーニングは、「現代の理論に即した実践的なトレーニング」だそうです。

ベイビーステップの4つの秘密

ということで本題であります。テニスマガジン10月号のベイビーステップ特集では、「ベイビーステップの秘密」と題し、次のようなキャプションをつけていました。

最後に勝木先生と千葉さんにお話しをうかがうなかで「おおっ!」と思った『ベイビーステップ』の小ネタ、裏話を大公開。「”テニス的視点”なんてどうでもいいでしょ、楽しく読めれば!」の精神でお届けいたします。

ということで、知りたいことがきっとあるに違いない!と思える4つの小ネタを、主に勝木先生と千葉さんの発言を引用しつつ紹介していきたいと思います。

タイトルの秘密「作者が知ったときには決まっていた!?」

ベイビーステップ』というタイトルの名付け親は、作者の勝木先生でもなければ担当編集の千葉さんでもない。「迷っていたら編集長に提案されて、あ、それいい」と千葉さん。勝木先生に至っては「知ったときには決まっていました(笑)」

ΩΩΩ<な なんだってー!モリタ隊員がタイトル案だして、そのまま編集部で決めちゃうだなんて、びっくりだぜ!
あたしはてっきり、フロリダから日本に帰るときにフロリダでできた仲間たちからメッセージが書かれているところで、アレックスが「Baby steps to Giant strides」って書いてたから、てっきり勝木先生自身が書いているのかと思っていました。
ら、その点について鈴木さんがこう言っていました。

「その中でアレックスというキャラクターが書いたのが『Baby steps to Giant strides』という言葉。それを見て、『あ、勝木先生、すごくタイトルを気に入ってるんだな』って思いました。」

このフレーズ、実際こういう言い回しがあるそうですが、主人公たるエーちゃんのキャラクターに、そしてそのエーちゃんが紡ぎ出す物語にぴったりなものですね。森田編集長…やるな……

テニスノートの秘密「勝木先生もつけていた!?」

勝木先生はコツコツ型だ、という話題があり、その中で勝木先生は次のように述べられたといいます。

「自分としてはコツコツ型じゃないんですけど、テニスノートをつけたりとか、自分に足りないところを書いて、それを手に入れるためにはどうすればいいか、ということはやっていたので、考え方は丸尾と似ているかもしれない」

実体験キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!テニスノートをつける(しかもあんなにたくさん!)、なんて発想はそうそう出てこないんじゃないかと思ったりしていましたが、実体験があってのこととは…。もっとも、エーちゃんほどは書いていないようですが…。
ただ、ふと思い返すと、「書いたことは覚えている」ってことはよくあったんですよね。そういう意味では、「書いておく」ということの意味は大きいんだろうなあと納得したり。
もっとも、勝木先生自身はエーちゃんノートにには不満があるとおっしゃっていたそうです。

「あの大きさのコート図だと、ラリーが長く続いたら軌跡を書ききれないな、とか、あとから気づきのメモを書くスペースがあった方がいいな、とか、改良の余地はたくさんあると思います。」

いやいやそもそもそんなに長く続いたラリーの軌跡って覚えきれるんですかね…?エーちゃんなら不思議じゃない気もしますけど。この勝木先生のコメントを読んでいると、あのノートも、ひょっとしてちょっとずつ内容がアップグレードされてたりするのかもしれない、とか思ったりしてそれも楽しいなあ。

キャラクターの秘密「あのキャラのモデルはあの選手!?」

テニスマガジン誌は、「難波江→フェデラー、荒谷→ナダル」というモデルをぶつけてみたところ、勝木先生から

「確かに難波江はフェデラーをモデルにしてますし、荒谷はナダルなんですけど、そこに取材をしていた藤沢翔稜高校の選手たちの要素がいろいろと入ってます」

との回答を得ました。また、池に関しては、状況設定を錦織圭に合わせたとのことで、なるほどなと思いました。
そういえば今週のマガジン掲載のベイビーステップでは、池が世界ランク50位をうかがうところまで来たという話が出ていて、錦織の今年の飛躍を考えるとうまくリンクさせているなあという印象を覚えました。
じゃあ、タクマとか、神田とか、井出とか、あるいはなっちゃんはどうなんだろう…?とか思っても追求しない、追求しないよ!

ベイビーステップ』誕生の秘密「山本哲弘プロがすべての始まり!?」

最後に明かされた秘密は、勝木先生がテニスマンガを描こうと思った理由でした。勝木先生は、マンガを長く描くためにはテーマも大事だがジャンルも大事だと考え、そこで昔かじっていたテニスを、と思っていたといいます。ただ、最初はいろいろなアイディアがあったところ、山本哲弘プロから高校の取材の誘いを受けたのだそうです。

「山本プロと同じマンションに住んでいて、母親同士が友達だったんです。山本家の末っ子が藤沢翔稜高校テニス部のキャプテンで、その取材にこないかと誘われて。最初は軽い気持ちだったんですが、いつの間にかのめり込んで1年くらい追いかけ続けちゃって。これはもう(テニス漫画を)やるしかないなと思って。縁があったんですよ、すごく」

藤沢に住み、その住んでいたマンションにテニスプロがいて、そのプロに取材の誘いを受け―――。こういった人の縁、そして勝木先生の発想と力が、あたしたち読者に、地味と言われつつもとてもおもしろい、リアリティのあるテニスマンガ「ベイビーステップ」を届けてくれた、そう思うとちょっと感動を覚えます。
どんなマンガにも、きっとこういうエピソードがあるんだろうな、と…。いつもありがとうございます。

実は11月号にも特集ががが

ここまでで今回のご紹介はおしまいです。いかがでしたでしょうか。前回も書きましたが、バックナンバーはまだあるようです。結構端折ってますし、今回ほとんど触れなかった細かなリアリティーの部分は、テニスを今まさにプレーしている人にとっては示唆的な記事だと思いますので、ぜひぜひそちらをご覧ください。
そしてさらに、この特集はその次の11月号にも続いていまして、そちらでは「ベイビーステップにみるテニスの始め方」と題して、初心者・エーちゃんがいかにテニスにハマりそして強くなっていったかを、実際のプレー写真も交えながら解説しています。また、ベイビーステップのアドバイスを行っているコーチのインタビュー記事もありますので、よろしければそちらも!