明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

504話と505話の落差が「ハヤテのごとく!」だよねとか言ってみたい。

ぷらずまだっしゅ!昨年末以来のハヤテ記事で更新したということに触発されて更新する約半年ぶりの明日はきっと。です。よろしくお願いいたします。

さて、9/2発売の週刊少年サンデー40号から畑先生の新連載「アド アストラ ペル アスペラ」が始まりまして、それに伴って同号の「ハヤテのごとく!」第505話は前回の王玉関連の設定開示を総スルーする番宣回となっていました。
この番宣回、正直言ってすげえおもしろかった。おもしろかったんですよ。触発されたぷらずまだっしゅ!でも触れられていますが、自虐分多めとはいえキレのあるネタが多数詰まった回だったと思います。今本編で何やってるか忘れさせてしまうような、妙なパワーを持った回でした。いずれいじるであろうと*1思われていた新編集長のネタを直球で投げる冒頭から始まり、初期を彷彿とさせる展開を経て微エロで終わるという賑やかでスピード感のある回で、久米田先生のノリに近い*2と言って差し支えないお話だと思います。

一方で、前回(504話)の王玉関連の設定開示を読みながら思っていたことがありまして。3年ほど前に同人誌「ハヤテのごとく!のお茶会」で畑先生にインタビューをした際に、こんなことをおっしゃっていたのです。

でも、特に週刊連載っていうものはそういうものだと思うんだけど、今読者が見ている最新の話は、2年くらい前に考えていたもので、今考えているものは、2年くらい先に描くであろう話になるんです。


ハヤテのごとく!のお茶会 P40から抜粋

この発言は、伏線とその回収についてお話を伺っている時にあったものです。インタビューは2012年5月に行い、それから早くも3年が経過しました。この頃考えられていたのが何なのかはもちろん我々にはもちろんわからないところではあります。しかしながら、この時点で、この王玉関連の設定開示をこのような形で行うことを予定していたとすれば、これは大変なことだなあと思うのです。ここにどれほどの積み上げがあったのでしょうか。そして、どれほどの予定変更があったのでしょうか。
連載開始から10年以上積み重ねられてきた物語が見据える着地点はまだ見えませんが、とはいえ終わりを予兆させるお話の1つであったということは言えるでしょう。

この504話によって、王玉に関係する多くの情報が読者に開示されました。長く読んでいる人ほどこういった情報開示により得るおもしろさは大きく、いわゆるストーリーマンガの方法論です。その一方で、505話のような単発のギャグ回がシリーズの途中で挟まれるという「ハヤテのごとく!」でありがちな展開は、ギャグマンガの方法論(というか枠組み)の中で作られていると見てよいでしょう。ここの落差と、そしてこの展開そのものが「ハヤテのごとく!」という作品の「らしさ」の1つの発露であり、(失敗もありつつ)作品のおもしろさと継続につながっているんだということを思った2週間でした。

あ、新連載は来月の掲載待ちですが、ロボットものの王道を歩きそうだなあという印象を持ちました。

以上です。(オチがない)

*1:個人的には、やるなら巻頭カラーなんじゃないの?と思っていた。

*2:これもやっぱり初期に近い