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畑先生最新作☆トニカクカワイイはかわいいは正義の体現

畑先生、おかえりなさい!(挨拶)

ということで、本日発売の週刊少年サンデー12号から、畑先生の新連載「トニカクカワイイ」がスタートしました。
一挙2話掲載、トラック、流血など、前作「ハヤテのごとく!*1の第1話〜第2話を彷彿とさせる要素や、前作との共通点を連想させる背景*2などが見られました。タイトルどおり、とにかくヒロインがかわいいことは間違いないことを断言しつつ、新連載の感想を書いていきたいと思います。

明確な下敷きから垣間見える伏線、そんなことよりとにかくかわいい

「トニカクカワイイ」のロゴの下にこっそり「FLY ME TO THE MOON」と入っているのでもしや、と思っておりましたが、第1話時点で早くも本作の下敷きに「竹取物語」があることが明確になりました。かわいいヒロインたる司にどんな力があるのかはもちろん不明ですが、主人公のナサがトラックに轢かれる瞬間、ナサとトラックの間に挟まっても無事であったこと、ほぼ即死に近かったナサを一時的に元気にさせてしまうような「何か」があったこと、そしてトニカクカワイイことなど、かぐや姫に近しいヒロインとして描かれているように思います。
キラキラネームをバネに努力を積み重ねた主人公ナサの、竹取物語に心情をのせた一目惚れの告白が、力の持ち主として難しい感情を持ってきたであろう司の琴線に触れたことは間違いなく、夫婦コメディが始まるきっかけとしては申し分ないでしょう。

二度と会えないと分かっているなら…戦って…追いかけて…取り戻すべきだったんだ…

ナサのまさに生死ををかけた”告白”の中でも、印象的なフレーズです。小さなコマだけど、大きな力があるように感じました。ナサ、とても主人公です。そして、こういう場面でも「竹取物語」が入り込んでくるわけで、「竹取物語」の各種エピソードを元にしたエピソードやら伏線やらが今後出てくる可能性も十分あり、少し古典の復習をしたくなってきます。久しぶりに勉強してもいいかもしれない。
ともあれ、「ハヤテのごとく!」の1巻の時点で畑先生本人が「世界名作劇場が好き」、そして「世界名作劇場的なものを」と書かれていていました。それが完遂されたかどうかはさておき、そこを目指した前作から、次作にあたって本邦の古典を下敷きにしていくというのは非常によいと思う次第です。
そんな理屈はさておき、ヒロインの司がとにかくかわいいのです。タイトル通りなのです。このままいちゃこらしてくれるだけでも別によいのです。かわいいは正義

畑先生の策略がそこかしこにある

かわいいは正義、そして今後に垣間見える設定的なところなど、個人的に押さえておきたいことは以上ですが、それ以上に「トニカクカワイイ」は畑先生がまた実験を始めた*3感がすごいですね。
なんと言っても一番は「連載開始と同時に第1巻の発売日告知」なわけですが、畑先生のバックステージによれば8話まで収録して5月18日発売とのことで…。

トニカクカワイイ 1

トニカクカワイイ 1

Amazonで予約できるあたり、本当に戦術を練るのが好きなんだと思います。結婚発表のタイミングも練りに練ってのタイミングだろう、そして畑先生が連載始めるならあの人にもちょっとお願いしよう、みたいなことを読んでバックステージを読んでいたら、

でも僕も本当にサンデーが、刷り上がるまで知りませんでしたよ!

サンデーまんが家BACKSTAGE|畑 健二郎 Vol.434

あ、さすがに師匠にお願いするところまではできませんよね。失礼しました。あの読み切りについては、元気だったら明日か明後日に書きたい。マジで。トニカクカワイイの感想が全部吹っ飛んだので非常に難産です。
なお、畑先生のまんが家バックステージはネタバレ込みですので本編読後に読むと大変楽しいのですが、そこかしこに爆弾が仕掛けられておりますので、ご注意ください。特に、

ええ、ぶっちゃけ僕は二回も結婚しているので
その大変さは重々承知しております。

サンデーまんが家BACKSTAGE|畑 健二郎 Vol.434

このようなことをさらっと書くのは心臓に悪いよ!ほんとに!知らなかったよ!!そうだったんだ!
こういったマーケティングを仕掛けてくるのが畑先生だよなあ…と思いました、まる。

めでたしめでたしの後

第2話のサブタイトル*4も示唆的でしたが、バックステージで今回明確に語られたのが、「結婚してからが大変なのだ!だからその先を描くのだ!」ということでした。物語としては確かに結婚後を語るものが多くないことは確か*5で、しかも少年誌ではかなり稀だと思います。そこに踏み込んでいくということで、現時点で示されている「トニカクカワイイ」の物語の構造は大変シンプルですが、ナサと司の新婚生活がただの甘々いちゃこらということではなく、きっととか親戚とか上司とかお金とか、そういう結婚後の要素が少年誌で展開されることが期待されます。
少年誌でいいのか。それは。楽しみです。
とりあえずナサの両親がどう出てくるかというのが最初のポイント*6*7だと思いますが、楽しみにしております。あたしも子どもにキラキラネームをつけるのはやめた方がいいと思います。大人になっても恥ずかしくない名前を。

ともあれトニカクカワイイ、想像以上にとにかくかわいいので、来週も楽しみにしております!

*1:ついに枕詞が前作になってしまった…

*2:たとえば2話でナサが済むアパートの1階テナント

*3:インタビューをさせていただいた時に、「ハヤテのごとく!」が実験作であることを明言されていた

*4:「…したとさ めでたし めでたし」

*5:設定的に重くなりがちだからか、あっても青年誌か女性誌が多い感

*6:設定や展開的に司の親・親類というのは明かされるにしてもたぶん最後の方だと思う。

*7:結婚って自分たちだけではできないのよね…という個人的な感想もあります。