明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

好きな人の名字を自分の名字に変えてみたりしたよね?

自分の体調だったり仕事が詰まり気味だったり子どもの調子が崩れたりで、すっかり週を超えてしまいましたが、週刊少年サンデー13号掲載、トニカクカワイイ第3話「それは、キュゥべえと契約するより簡単で、魔法少女になるより重い」の感想を簡単ですが書いていきたいと思います。

「婚姻届を書くだけ」に詰められたもの

前回までのトニカクカワイイは、トニカクカワイイヒロイン・司に一目惚れした主人公が死にそうになりながら告白して、結婚するなら付き合ってもいいよ、と言われる話でした。んで、独り暮らしを始めたナサのところに司が現れて引き、というところで今回の第3話であります。
20ページありますが、内容は表題のとおりです。一通り驚いて、好き好き言って、婚姻届を書くだけ。とはいえ、夫婦コメディと銘打つにあたって大事なステップでもあります。
婚姻届を出すか出さないか、ということは、パートナーとの関係性によって様々な考えがあり、結果として婚姻届を出さない事実婚を選ぶ場合もあり得ることは大前提です。一方で、「夫婦になる=結婚」という方程式も当然に成立しており、夫婦コメディの成立の要件として「婚姻届を出す」という話は必要でありましょう。1話使って書くだけになるとは思いませんでしたが。書くだけじゃない、出せよ!!
さて、この「婚姻届を書く」話の肝は、ラスト4ページにあると思います。ナサの名字「由崎」を司が「文字として認識」し、自分の名前に当てはめてみて、笑顔を浮かべてから「これからよろしく」をする。この4ページが、これからの物語を支えることになるでしょう。ここまででナサは何度か自分の気持ちを伝えていますが、司自身がナサをどう思っているのかを言葉にするシーンはありませんでした。しかし、この4ページの中で、司は「なにより私が信じた人だから」と信用を口にしました。この信用は大事なことで、彼女がどこまでナサのことを好きかどうかはさておき、ナサのことを信用しているからこその結婚であるという前提がここで成立したことは、夫婦コメディを成立させる上で必要な要件をクリアしたと考えてよいでしょう。もっとも、「まぁ大変なこともあるだろう。」というセリフが示唆的ではありますが。

伏線だらけの婚姻届

自分が婚姻届を出してからもう8年たつので何を書かないといけないのか忘れていましたが、今回婚姻届をまじまじと眺めてなんとなく思い出しました。ともあれ、この婚姻届、明らかな伏線すぎてまとめておかないと回収された時忘れてそうだZE☆という感じですね。

  • 司の旧姓になる「月読」という名字(本作サブタイトルや竹取物語との関連性)
  • 誕生日(咲夜と一緒じゃん!ってか16歳!?)
  • 本籍地の住所(千代田区1番って!)
  • 父母の氏名(明らかに偽名くさい)
  • 証人・月読時子(これは実在くさい)

この辺りでしょうか。漏れてそうで不安です。回収が楽しみですね。
なんと言っても、本籍地といい父母の氏名といい、「本当に司に戸籍が存在するのか?」という疑問が晴れないので、早いところ婚姻届を提出してほしいところです。すんなり受理されてもされなくても、考えるかいがあります。よろしくお願いします。

名字が変わるということ

現実的には、名字変わると大変なんですけど*1、子どもの頃に好きな子の名字を自分の名字にしてみたり、逆に自分の名字を変えてみたりしたことはないでしょうか。あたしはあります。ちなみに、に聞いたら小学生のときにしたことがあるそうです。つまり、男女問わず!(サンプル少ない)実際のところ、名字が変わるということの意味、そこに至るまでの気持ちの変遷、手間、慣れなど、そこにはいろいろな葛藤なりがあると思います。
が、そういう大人っぽい現実*2はさておき、少年誌においてトニカクカワイイ3話でもっともかわいかったのは、「由崎司」になることに対して笑みを浮かべる司に間違いなく、そこにかわいさを感じるのは前述した「名字が変わる」ことの意味と経験が結びついてのことではないかと思う次第です。

蛇足

婚姻届については、先日畑先生がご結婚なさったばかりということで、「そのときに使ったものを活用したのでは?」みたいな意見を見かけましたが、個人的には「ゼクシィの付録を参考にした」説を推したいところです。日本全国どこでも出せるからね!まあでも、ぶっちゃけ結婚する予定がなくても婚姻届はもらえるので、深く考えても仕方のないところではあります。出生届は違うので要注意です(何が

*1:あたしの場合は嫁が変わったのですが、見てるだけでも大変だった。

*2:名字が変わることの是非については、ネガティブな要素も含まれますし、法的には夫婦同姓であることに対して合憲である(最大判平成27年12月16日 民集69-8-2586)との判断は出ているものの、選択的夫婦別姓等の議論もまだ続いています。ゆえに、マンガレビューとしては言及が困難だと考えています。