明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

2020年に読んだ本のおすすめ

1年ぶりにこんばんは…(挨拶)
まさか去年の定例エントリを書いてから一度も書かないなんて思っていなかったんだ…。いろいろあったんですよ…(言い訳)
2020年は言わずともがな、世界の変わった1年で、公衆衛生とは、みたいなことをついつい考えてしまうような年でしたが、むしろだからこそ、いろいろな本があって読むことができることがとてもありがたい年でもあったなと感じております。
そんなわけで、2020年唯一にして最後の本ブログのエントリ、今年読んだ本のおすすめです!

恩田陸蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

文庫の出版が2019年で今さら感も満載ですし、去年のおすすめ本の終わりに「読まないと…」と書いていたものを取り上げるのもアレなんですが、やっぱり今年読んだ本ではダントツだったんですよ。
いや、ほんと、久しぶりに泣いた。泣きましたとも。気づいたら涙が出ていた。
ピアノコンクールに挑むピアニストたちの群像劇である本作ですが、それぞれのコンクールに至るまでの軌跡と、それがコンクールという緊張しかない場で昇華されていく様が圧巻。個人的には、ラストそのものよりはその経過のほうが涙なしには読めないというか、その経過の描き方こそがとんでもないハイレベルの積み重ねなのですが、トータルで見てもすごいクオリティでぐいぐい読ませる作品です。
恩田陸作品、オチが合わないパターンっていうのがぼくとしてはありますが、「蜜蜂と遠雷」はそれもなくスッキリ終わるところがまたよいのです。

栗ノ原草介『結婚が前提のラブコメ

生活に変化があって、今年は実にBookWalkerさんでラノベを読み漁っていた年でした。
結構いろいろ読んだのですが、その中でも好きだったのがこちら。まさかラノベで結婚相談所が舞台のお話が出てくるとは…みたいな気持ちで読み始め、婚活とかお見合いとか、あるいは恋愛とはといったことをなんとなく考えてしまう良作です。
主人公の縁太郎にとっての結婚相談所という存在、仲人という存在に対する考え方が、こういう人にならお世話になっていいような気持ちにされます。だからこそ幸せに過ごしてもらえるといいなと思いながら、結婚相談所に集うヒロインたちの模様を愛で、なんとなく結婚とか、1人とか、2人で過ごすとか、そういうことを考えるのがよいかなと思います。それこそトニカクカワイイとか、あるいは若木先生の「結婚するって本当ですか?」もそうなんですけど、結婚とか結婚後の生活とか、そういうのをテーマにした作品が増えてきてるように思います。そういう世代とか、時代とかもあるかもしれませんが、そういった視点の作品が増えてきてるのは単純によいなあと感じています。1人で過ごすのもいいですが、2人、3人…というのも良いものです。

野村美月『むすぶと本。』

文学少女シリーズが終わってこの先はないと思っていたのですが、まさか同じ世界観で新しい物語が始まるのか…!という喜びにふるえたのでした。
文学少女シリーズは「本を食べちゃうほど大好き」、この「むすぶと本。」は「本と会話ができる」。どちらも「本」を通じたアプローチですが、その組み立て方で全然違う見え方になっていて、この先が楽しみな1作です。

山田鐘人/アベツカサ『葬送のフリーレン』

2020年の個人的コミックベスト。
「このマンガがすごい」で2位を取ったのは作品のポテンシャルとしては納得感しかないし、むしろ1位取れなくて残念くらい。
勇者が魔王を倒してから辿る旅路、というのは、少しFF10っぽい気持ちになりますが、作中で流れる時間とフリーレンの気持ちや考え方のゆるやかな変化が愛おしく、そしてこの後彼女たちに待ち受けるものは何なのかというところがとても楽しみでなりません。あとなんかディードリットとかぶるんですよ、フリーレン。だから好きっていうのもあるかもしれない。ディードより人間くさいですが、フリーレン。執着するところがエルフっぽくないというか。

以上、2020年のおすすめでした。
2021年はもう少し…もう少し書けたらいいなと、そう思っています…。(←