明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

たぶんアメリカのケーキくらい砂糖が入っているのだ

1月18日に畑健二郎先生の「トニカクカワイイ」4巻が発売されました!

この4巻は、サンデーに掲載された第29話から第38話までのほかに、第31話と第32話の間を描いた、書き下ろしの第31.5話が収録されています。旺盛なサービス精神には脱帽するしかありません。
さて、新婚夫婦コメディ(ただし少年誌)である本作は、物語の柱がナサくんと司ちゃんのイチャラブ+2人の家族・生い立ち関係+周辺の人々という構成となっていて、イチャラブによる砂糖菓子を毎週いただけるという仕様です。個人的にはラブコメのお砂糖は多い方がいいと思うので歓迎です。
トニカクカワイイ」では基本的に毎週結構な量のお砂糖が投入されているので、甘いラブコメをお好みの方に満足いただけることでしょう。ただし、構造上ハーレムや三角関係やNTRは生じにくいので、そういった方面が好きな方は注意が必要です。
さて、ここまでわざわざお砂糖が多いよ、ということを書き連ねてきたのは、この4巻に収録された第31.5話がめっちゃ甘いからなんですよ。摂取には注意を要する感じなんですよこれは。いいぞもっとやれ
第31.5話は、いろいろあって銭湯の離れに住むことになった由崎夫妻が、布団をくっつけて一緒に寝るというお話で、あらすじだけ見ればほぼ40字で済んでしまいますが、そこに投入されている

お砂糖半端ないって!もぉー!!
あいつ半端ないって!
手ぇつなぐだけで何ページも使うもん…。
そんなんできひんやん普通、そんなんできる?
言っといてや、できるんやったら…。


うん、知ってた。そういう作風でした。つまりはあまーい!んですよ!甘々です。すばらしい。
それにしても、「トニカクカワイイ」は畑先生の作品のいいところが最大限発揮できるように設計されていることを強く感じます。だって、結婚してからまだそんなに時間は経ってないんですよ?伏線も張られているのに、時間の経過が蝸牛のような速さなのににこの満足感。柱がイチャラブであるが故、物語が進んでなくてもよいからこそだと思いますが、これ、どちらかというと日常4コマ系の感覚にかなり近いですね。ネタも取り入れやすい、畑先生にふさわしいフォーマットだと思います。
そんなわけで、今ならまだ4冊で揃う「トニカクカワイイ」、半端ない甘さです。疲れた生活の一服の甘味にいかがでしょうか!

2018年に読んだ本のおすすめ

おかげさまで2018年も無事に暮れようとしています。
今年もお世話になり、ありがとうございました。ということで、今年読んだ本からおすすめしたい本をピックアップしていきたいと思います。
昨年は終わりを迎えた作品が多かったですが、その分今年は新しい楽しみがあったといえるかもしれません。

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「死なないラインハルト」—十二国記初稿の報に寄せて

今週、衝撃的なニュースがありました。
十二国記新作が、長篇が、舞台が戴の物語が、2019年に刊行されるというのです。


めちゃめちゃ嬉しいのですが、その結果10年ほど前に書いたエントリが地味に読まれているようです。
kiyolive.hatenablog.com
うちのブログではもっとも息の長いエントリだと思います。個人的には悔いもありますが。それはそれとして、この時の概略は、「銀英伝の9巻の解説で小野不由美『死なないラインハルト』という思考実験をして、その結果生まれたのが「十二国記』だよ」というものです。
あの頃は朧げな記憶ですし、最初に収録された「銀英伝」の9巻は当時でもすでに絶版でしたが、今はそれが収録された「銀河英雄伝説事典」が手元にあります。
銀河英雄伝説事典 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説事典 (創元SF文庫)

そこで、実際の記述を見ながら十二国記を振り返って、来年刊行される新刊を待とうではないか、というのがこのエントリの趣旨であります。10年前とほとんど変わらないかもしれませんが、お付き合いいただけたら幸いです。なお、未読の方は、とにかく「月の影、影の海」をネズミが出てくるまで頑張って読んでいただくと良いと思います。最高の読書体験が待ってますから。あと、「銀河英雄伝説」も創元さんから出ていますので、正伝の1巻から10巻まで読んでいただけると良いかと思います。こちらも最高ですので。

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積み重なっていく時間

このエントリは、ただの回顧です。

このブログが『ハヤテのごとく!』の感想ブログに変わったとき、あたしは20代の中頃でした。
そして、結婚等のライフイベントが続いて更新頻度が落ちたのが、20代の終わりからでした。

さて、「明日はきっと。」の『ハヤテのごとく!』関連エントリの中には、マリアさんをオチにしたものが少なくありません。特にも、このブログが最初にアクセスを集めたのはマリアさんネタ(マリアさんは黒い。それが真実だ。 - 明日はきっと。)でした。そして、マリアさんオチの多くは、

  • マリアさんの外見年齢と実年齢(の差)をネタにしたもの
  • マリアさんが腹黒いことをネタにしたもの
  • マリアさんの胸のサイズが時期によってまちまち(=可変)であることをネタにしたもの

でした*1

特に最初の年齢ネタは鉄板ともいえ、さんざん「マリアさんじゅうななさい」という単語を使用したものです。説明するまでもないと思いますが、「マリアさんじゅうななさい」は、切り方で「マリアさん 17歳」と「マリア 37歳」になることを利用したネタです。ネタを説明するなんて恥ずかしい。



そんなわけで。

本日、37歳になりました。あれほどネタにしてきたマリアさんと同い年に。こんな時が来るとは思っていなかった…。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




出典:ハヤテのごとく!第124話(12巻6話)

*1:実際に調べたわけではありません。

『トニカクカワイイ』に見るラブコメの「甘さ」の境界線

まさかの2週連続で感想を書いております。(挨拶)
ということで、今週の『トニカクカワイイ』を読んだ感想というエントリですが、当初は「新婚(フィクション)っぽい甘々な話だったなあ…」以外の感想はなかったのですよ、ただ、タカヒナくんとのTwitterでのやりとりで「今週くらいになると辛い」という話があって、それでふと思ったことをまとめてみようと書き始めたのがこの文章です。雑な展開かもしれませんがご容赦ください。

今週の『トニカクカワイイ』をまとめてみる

今週の『トニカクカワイイ』第19話「なんだこの話?」を要約すると、「寝相が悪いお嫁さんが同居開始数日でついに旦那の布団に潜り込んだ!旦那は本能に従って抱きしめた!柔らかくてあったかくていい匂いがする!だからダブルベッドがほしい!そのためには引越…?からの嫁「狭い方が近くに感じられるし」で最初に戻る」というお話でした。ただのいちゃこらですすばらしい。ほんといちゃついてしかいないので、何も考えずにこの夫婦を愛でることが今週の基本的な読み方だと思いますが、いちゃこらも度が過ぎるとまずいよね、というところも見えてきたところは確かにあるのです。

少年誌で「その後」を描くことには限界がある

ジャンプであれば『電影少女』、『いちご100%』、『ToLOVEる』や『ゆらぎ荘の幽奈さん』、あるいはマガジンであれば『涼夏』や『GE〜グッドエンディング〜』、『ドメスティックな彼女』などのように、男女関係における一線を越える、あるいは超えそうになる、乳首券をよく使うなどの少年誌的お色気分多数のラブコメを中心に、一定の線があってそれを超えることが終わりの始まりだったりすることがあります。いわゆる「お付き合いを始めたところでHappyEnd」です。少女漫画になると少し様相が変わってきて、お付き合いし始めてから山あり谷ありを経てHappyEndな展開*1も増えてきますが、少年誌ではたぶん『涼夏』が限界*2だろうと思われるところです。
ブコメは好きなのでよく読みますが、少年誌掲載作品ではやはり「お付き合いを始めたあとの先のこと」を描くことに難しさがあるのだろう、というのはこれまで読んできた作品を思い返すとなんとなくそう思えます。
その部分を開拓しよう、というのが本作『トニカクカワイイ』というわけで、そういった意味で改めて今週甘々な話を読み返してみると、「甘々だけどどのくらいの甘さで構成しているのか」ということが物語をたたむトリガーになるのでは、と感じました。ここまで述べてきたように、少年誌で「一線を越える」ことが難しいのですが、『トニカクカワイイ』の基本がナサと司の夫婦関係である以上、夫婦関係における身体的な接触は避けて通れません。キスや抱きしめるは許容されても、おそらくその先に行くことは簡単ではないでしょう。だからこそ、ストーリーの甘さの度合いが物差しになるのではないのか——と、そう思うのです。

第19話は物差し

記憶に頼った雑な前段を踏まえると、今週の第19話はかなり踏み込んだ感じです。ナサがかなり具体的に「身体的なその後」を考えるきっかけになっています。司が寝ぼけてナサのベッドに入ったというのが端緒ですが、その後ナサが自分の意思で抱きしめたこと、そこから考えが展開して行動につながっていくという話の流れが、先週までの月読家の話や指輪の話などにより、「お互いのことを知って精神的な距離感を縮めた」ことが前提になっています。ナサがラブコメ主人公らしい初心さを見せているので先に進めないだけで、お互いが想い合っているという認識がそれぞれの行動や言動から明らかになっており、一応届もされていて阻むものがありません。この先はほぼ確定的と思わされました。
そう考えると、この第19話は今後の『トニカクカワイイ』における物差しとして機能しそうです。これ以上のラブコメ的甘さは、描き方によっては終わりへの一歩になるだろうと考えると、そうするとナサと司の関係の進み方を見る上で、19話を超えてくるかどうかというのは一つの基準となり得るのではないでしょうか。今回と同程度の甘さなのかどうか、それが身体的な面から生じるものなのかそれとも精神的なところから出てきているものなのか、そういったところでこの先を量る物差しにちょうどいいお話だったのではないか、というのが、読み返したあたしの感想です。
いずれ非常に難しい舵取りを迫られていそうですが、しかし畑先生が自ら「めでたしめでたしのその後を」と言って少年誌で始めた本作ですので、きっと思いもよらない展開をしてくれるものと楽しみにしております。
とりあえず、そろそろナサの両親と絡んで欲しい今日この頃です。結婚は2人だけで完結するわけではありませんので。親とか親戚とか避けて通れないんだよう!

*1:最近終わった作品だと『君に届け』とかでしょうか。

*2:一線を越えてでき婚してEnding

「ペアリング」というカタチ

気づいたら『トニカクカワイイ』の単行本1巻が出ていました(挨拶)

毎週出るのを待つのとまとめて読むのとでは違うというのはよくある話ですが、この1冊で「ナサと司が結婚するまでと、結婚して一夜を明かすまで」というところがまとまっているところは非常によかったのではと思っています。そしてやっぱり司はかわいいと。それに尽きる。
さて、今週のサンデーに掲載されたトニカクカワイイ18話について、昨日あたしはこんなtweetをしました。
言葉が微妙に足りませんが、つまるところ、今回の18話を読んだあとで自分が嫁に渡した婚約指輪と結婚指輪のことを考えたのです。そして、「嫁に伏せて婚約指輪を準備したこと、渡したときのことは覚えてるけど、どうやって指輪の代金払ったんだっけか…あとサイズぴったりだけどどうやってばれないように聞いたんだっけ…?」と思い、しばらく考えたけど思い出せなかった*1、という主旨のtweetでした。
そんな体験談をふまえたよもやま話的感想ですが、久しぶりの更新ということでお付き合いいただけたら幸いです。(前置き長い)

”カタチにこだわる”ということ

トニカクカワイイ』は夫婦コメディということで、まあナサの行きつけの銭湯の姉妹とか司の関係者とか出てきてはいますが、基本的にナサと司がいちゃラブするのが本作の基本です。
きっかけはともかく、また、受理されたかはともかく外形的には結婚した2人、そしてお互い想い合っているということがこれまで描かれてきています。気持ちがある程度見えてくると、「実のところそれを証するものがないよね」ということが浮上してきて、それがここ何話かの根底にあるように思っていました。ナサがアルバイト中は司は1人になっちゃって寂しい、というエピソードも、結局「証」というところに行き着くので。
そんなわけで、今週の『トニカクカワイイ』はそれをすべて回収する話であります。お話は司がナサに現実(最高級とそれ以外の違い)を見せつけるという方向で展開し、ダイヤモンドという宝石の高さを見せつけてより有意義なお金の使い方を説こうとする司にナサが伝える言葉が甘いシーンにつながりました。

「離れていても…永遠の愛を誓った指輪があれば…相手を近くに感じられるかなって…離れていても…寂しくなくなるかなって…

このナサの一連の言葉は、個人的には「すごいわかるよ!」という気持ちと「いやいやそんなことではないよ」という背反するような感情になりました。とはいえ、やはり一面では真だよなと思うのです。指輪なのか値段なのかはさておき、そこに気持ちをこめたカタチのあるものが存在することで、相手のことを思うきっかけであったり、相手が自分の側にいてくれるような気持ちであったり、相手が自分のところに帰ってくれるような気持ちになれたりするという要素は否定できません。「カタチにこだわるかどうか」というのは、夫婦それぞれの考え方によると思いますが、何らかのカタチがあることは長い結婚生活において大事な要素なのでは…と感じています。ラスト2ページの司の言葉が過去形であることが感想サイトで憶測を呼んでいますが(こことかこことか)、指輪というカタチを得たということで感傷的になり、過去形になってもおかしくないかなと思わないでもないのです。ラスト1ページは確かに示唆的ですが。しかし、自分自身が結婚指輪を見ると嫁のことを思い出すので、そういう意味では別に今の気持ちの独白だと思ってもいいようには感じています。確かにアヤシイですが。

まとめ

思い出はカタチにするとよりよい。

蛇足


というtweetをしましたが、うん。やぱり夫婦コメディだしもうちょっと糖分多めでも罰は当たらないと思います。新婚だもの。甘くいこうぜ!

*1:嫁もあやふやな記憶だったけど、なんとなく二人で摺り合わせたらだいたいわかりました。

法律上、まだ夫婦ではありません!

いろいろあって『トニカクカワイイ』の4話と5話の感想が書けないまま火曜日の夜を迎えてしまった…(挨拶)
というわけで、4話と5話の感想をまとめて書いておきたいと思います。6話がどうなるかはわかりませんが。

「書いただけ」の3話と「出しただけ」の4話

第3話が「婚姻届を書く話」ならば、第4話『君だけが触れていい何か』は「婚姻届を出す話」でした。この「婚姻届を出す」という話の中で、司がナサの名前をポジティブに評価することで、ナサ自身の気持ちをさらに高めるというエピソードを挟んだり、某執事長にそっくりな区役所の夜間警備員さんが出てきましたが、本筋としては「婚姻届を出す」という点に集約されています。
ただし、ここで注意するべきは、「まだ受理されていない」という点です。
畑先生はバックステージで

とりあえずこれで、二人の婚姻関係は正式に国が認める形となりました。

さてさて、そんな中、今回の話にも一つ嘘があります。
それは何かと言えば、18とはいえナサ君も未成年なので、
本当は保護者の同意書が必要という点です。

サンデーまんが家BACKSTAGE|畑 健二郎 Vol.436

と書かれていますが、夜間窓口での婚姻届提出はあくまでも受け取られただけであり、当該役所の職員が不備がないことを確認して初めて受理され、窓口での受取日に遡って戸籍に載る*1のです。「受け取る」ことと「受理する」こととは異なり、時間軸上まだ受理されていないため、現時点ではまだ畑先生の言う「二人の婚姻関係は正式に国が認める形となりました。」はダウトです。夜間窓口の担当者は戸籍の担当者ではないので、確認ができないため受理できません。ご注意ください。嘘は二つです。
したがって、今後の展開に「実は婚姻届が受理されていない」という話が出てくることは確定的です。それは、畑先生のおっしゃる通り、ナサの両親の同意書がないため婚姻届を受理する要件を満たしていないからでありますが、それだけではなく、「司の戸籍がある」かどうかがまだわからないというところにもあります。あの嘘っぽい本籍地と両親では、戸籍が存在しているのかという点は本当に疑問で、その伏線は婚姻届が受理されるかどうかである程度はわかるのではと思っております*2
ともあれ、提出はしたのでとりあえず(擬似的な法律婚)夫婦コメディを展開するための環境整備は4話で終わり、これからいよいよ少年誌の範囲内で夫婦コメディが展開されることが期待されました。

二人で寝るかどうかだけに終始する第5話

あたしは、『トニカクカワイイ』について、現時点では「1話につき1テーマが存在する」ように感じています。「出会う」とか「告白する」とか、「書く」とか「出す」とかですね。で、第5話『かつて阿良々木くんは言いました。全部好きと』に関して言うと、「初夜?(1)」なのか、「司の告白」か、その辺悩む感じになりました。とにかくストーリーはほとんど進まないという、中期『ハヤテのごとく!』のようです。ただ、その中で司がナサへの信頼だけでなく、「好意」を示すという点がポイントであったかと思います。
逆に言うとそれしかないわけで、各感想サイトで「内容がない」と言われても仕方がない面はあるかと思います。ただ、司がかわいいのでタイトル負けしてないとは思います。

まとめ

個人的に言えば、「4話は結構読みどころがあったけど、5話は愛でるだけ」というところに落ち着きます。もっとも、5話で司が素直に気持ちを述べるというのは、実際の結婚生活においてもすごく大事で、結局他人だから言わないと伝わらないことの方が多いんですよね、ということは5話という1つのお話だけでも伝わってくるところはあると思います。
感謝と愛情は態度じゃなくて言葉で。ここ、テストに出ますよ!(オチ)

*1:正確には、両親の戸籍から離脱し新たな戸籍が作られる

*2:偽装等の可能性も十分あるので、正確には同意書が揃って受理されても確定とはいきませんが