明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

誰か

誰か Somebody (カッパノベルス)

誰か Somebody (カッパノベルス)

8月31日の飲み会の直前に購入した本のうちの1冊。表紙の折り返しで、宮部みゆき自身が

人生に不足がない、あるいは、幸せな人生をおくっている探偵役というのは、ミステリーの世界ではなかなか珍しい気がする−、と常々考えていました。

と書いていて、読み始めると、本当にそうだと。この作品の主人公は、なんて満たされているんだろう、と思いました。そんな主人公が追いかける事件は、宮部自身が言うとおりささやかで、でもなんだか深みのあるような。
宮部の現代物は久しぶりだったのでちょっと不安もあったりしたんですが、やっぱりうまいなあ。主人公の生活をところどころに挿入しながら、追いかける事件のディテールを徐々にはっきりとさせていって、最後でひっくり返す。
ささやかな事件だけど、そこにあるのはやっぱりミステリー。いい物を読みました。また宮部の現代物が読みたい。