明日はきっと。

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となり町戦争

となり町戦争 (集英社文庫)

となり町戦争 (集英社文庫)

「失われた町」で直木賞にノミネートされた三崎亜記のデビュー作の文庫版です。
かなりわくわくしながら読んでいたんですけど、のめりこめない話でした。何だか消化不良。設定とか語り口とかは割と好きなほうの部類だったんですけど…。ネタバレになりそうな雰囲気があるので以下は続きからどうぞ。
読者と主人公の「僕」はかなり重なると思いますが、香西さんという女性は結局謎めいたままで、立ち位置が結局よくわからなかったです。また、「主任」という登場人物がいますが、このキャラクタは「僕」のまわりで「戦争」を感じさせる唯一の存在ではあるけれども存在感がないというか。「僕」と「主任」のエピソードがところどころに挿入されていますけど、いずれも唐突な印象があるんですよ。ラストで出てくる「主任」のことにしたって、推測以上のなにものでもなく、結局「僕」には何も残らない。となり町との「戦争」そのものが本当にあったのかどうかでさえ、「僕」のまわりでは「死」以外にはわからない。
なんだかもやもや。うーん。