明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

お勧めミステリを紹介してみる(海外編)(+国内編の追加)

コミケお疲れさまでした!(挨拶)
参加していた、というか、企画側に入っていた「ハヤテのごとく!のお茶会」は完売したとのことでしたが、今後書店委託や執事とらのあな9で頒布するとのことですので、ご興味のある方はぜひ。
ハヤテのごとく!のお茶会

さて、先日お勧めのミステリを紹介してみる記事を書いて読み返してたら、やっぱり海外もあったほうがおもしろいよなーと思ったんで、(あとブクマが妙に伸びてたので)、自分自身翻訳ものはあまり手を出してないんですけど、自分が読んだことある範囲で、お勧めしてみようという今回の記事の内容です。
あと、その後思い出した国内のものも追加してみよう、というよくわからない構成となっております。
よろしければおつきあいください。

エラリィ・クイーン「九尾の猫」

九尾の猫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-18)

九尾の猫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-18)

特に新本格以降の国内推理小説家にはクイーン好きが多いように思います。
そんなクイーンといえば、初期の「国名シリーズ」とバーナビー・ロス名義で発表された「ドルリー・レーン4部作」がメジャーではないかと思いますが、今回のお勧めは後期クイーンの「九尾の猫」であります。
いや、「Xの悲劇」も「Yの悲劇」も好きですけど、レーン4部作はどうにも「最後の事件」の後味が悪くて…という面があり、国名シリーズは
クイーン(作中の名探偵)がちょっと無敵っぽくて好みではないという。いやでも、「Xの悲劇」も「Yの悲劇」ももちろんお勧めであります。
一方、この「九尾の猫」は、クイーンが悲劇的な真相に気づいて涙を見せるというびっくり展開が待ち構えるミステリであります。そういう人間らしい名探偵、あたしは結構好きなんですが、こないだWikipediaでクイーンの項を読んでいたら、「後期クイーン的問題」というミステリ論考に著名なテーマがあるらしくて驚きました。

クリスティ「アクロイド殺し

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

本格ミステリの女王、アガサ・クリスティからは「アクロイド殺し」をおすすめしたいと思います。「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」、そして先日アニメで解決編を迎えたらしい「氷菓」でもモチーフになった「ABC殺人事件」など、クリスティの名作はたくさんありますが、やはり発表時にはフェアかフェアじゃないかという論争が巻き起こったというこの「アクロイド殺し」なしにクリスティは語れないのではないでしょうか。
この作品のトリックがなければ、綾辻の作品は産まれなかったんじゃないか、とかちょっと思ったりして。

パトリシア・コーンウェル検屍官

検屍官 (講談社文庫)

検屍官 (講談社文庫)

古典的名作から一転、続いては現代の作品から、アメリカの女流作家パトリシア・コーンウェルの「検屍官シリーズ」の第1作を。
検屍官ケイ・スカーペッタを主人公に、現代科学捜査(1990年頃のもの)を武器に難事件に立ち向かうという内容で、緻密な描写が光る作品です。
実のところ、あたしは2作目の「証拠死体」で挫折してしまったんですが、この「検屍官」は中学生の時にむさぼるように読んだ記憶が残っていて、自分の中ではちょっと特殊な立ち位置の作品です。

ドイル「シャーロック・ホームズの冒険

シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)

シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)

いろいろ考えたけど、やっぱりこれは外せなかった…。
なんだかんだ言ってやっぱりシャーロック・ホームズは外せないし、あたしは「赤毛連盟」と「まだらの紐」が好きなので、「冒険」をお勧めする次第です。
というか、外せないけど何を書いていいのかわからない。そういえば、「緋色の研究」も「バスカヴィル家の犬」も未読だったなあと思い出したのでいずれ読んでおきたいと思います。(ホームズは短編集ばかり、しかも岩波少年文庫で読んだんだった…)

モーリス・ルブラン「813」

813 (新潮文庫―ルパン傑作集)

813 (新潮文庫―ルパン傑作集)

ホームズを挙げたならばやはりルパンも挙げなければなりませんね。
というわけで、「アルセーヌ・ルパンシリーズ」からはやはりルブランの最高傑作とも言われる「813」をおすすめしたい。殺人をしないルパンが人殺しを?という衝撃のオープニングから、大胆な連続殺人、暗号、1人何役かもわからないけれどもとにかく入り乱れた大混戦と、ミステリと冒険小説の魅力がぎっしりと詰まった名作です。あわせて「続・813」もぜひ。

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ここまで海外ものにしました。
以下、国内の追加です。

天藤真大誘拐

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

天藤真の産んだ大傑作を紹介し忘れるなんて、不覚…!
和歌山の資産家のおばあちゃんを、刑務所から出所したばかりのスリ師・空き巣・かっぱらいの3人組が誘拐し、資産家のおばあちゃんも加わって一大狂言誘拐を企てるという筋書きですが、息をつかせぬ展開に登場人物たちの成長が描かれ、そして最後に残るさわやかな読後感が何とも言えぬ快感になる名作です。
もし未読の方がいたらぜひ読んでほしいおすすめです。

以上、お勧めミステリを紹介してみるでした。
今後の更新はどうなるかわかりませんが、今のところ、アニメの「氷菓」がおそらく原作の「遠回りする雛」までやると思いますので、その頃に、氷菓について書けたらいいかなと思ってます。「遠回りする雛」の人間関係の動き方とか、すごく好きなんで。