ハヤテのごとく!第185話:“アンタッチャブルなことに言及する”という罪
マガジンで「生徒会役員共」が始まりました。「妹は思春期」や「濱中アイ」といった下ネタの入ったギャグを描いてきた氏家ト全先生の最新作で、昨年からマガジンSPECIALで連載されていたものが今回週刊の方に移籍となったマンガです。4コママンガですが当然下ネタオチでもなぜか読むのが止まらない、そんな氏家先生の最新作「生徒会役員共」のコミックスが来月発売ですってよ!みんな買おうぜ!
という何の関係のない冒頭から始める今週のハヤテのごとく!第185話「THE END OF THE WORLD 8 憎悪の王の誕生」の感想を書いていきたいと思いますが、本編に入る前に今週のサブタイについて一言。なんで憎悪を「ぞうあく」って読ませてるの?
とりあえず洗濯機マンにツッコもうぜ!
前回アーたんからもらった指輪を手に自宅へと走るハヤテは、しかしこの頃転びやすかったようです。あっさり転んで指輪を落とし、危うくなくしてしまうところでした。そこでハヤテ、指輪をしまえるものかぶら下げることができるヒモとかを探すべくポケットを漁り――――
って、洗濯機マンキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
説明しよう!洗濯機マンとは、畑先生が昔キン肉マンの「僕の考えた超人」に投稿した超人である。そのことを畑先生のアシスタント時代に久米田先生がネタにしたことで世に出た超人なのだ!!*1
偽キ●消しなんて注釈まで付けていて、畑先生のサービスに感涙しきりでした。
ハヤテの両親再登場。ひどくなる一方の描写です
指輪を拾ったところで出てきたのはハヤテの両親でした。過去編始まった時以来の登場ですが、父の元をハヤテが去ってからなんとまだ5日しかたっていないようです。この件に関しては誰かがきっと書いてくれているに違いないと信じてスルー。
さて、前回からの頻出キーワード「変わる」がまたモノローグに出てきて、ハヤテは「ちゃんと父に父の行為がいけないことだと指摘する」ことで親に対し変化を促しました。結果
ハヤテ父「そっか〜あれは泥棒だったか〜 父さんついうっかりしてたよ〜」
ちっとも反省していませんこの親。さらに
ハヤテ父「じゃあ盗んだお金はしようがないけど返そうか〜」
ハヤテ母「そうね〜もったいないけどそうしましょうか。」
※太字強調は引用者
どう見てもごまかしです。本当にありがとうございました。
そして、お金を返す方法を考え始めるわけですが、母の提案が
ハヤテ母「ハヤテ君ががんばって働けばいいのよ(はぁと お父さんのお手本になって」
というもので。お金を返すと言ったのはどう見てもポーズだし、これは単に自分の子ども(しかも6歳)に労働を押しつけることに他なりません。自分たちは働かない気満々であります。しかし、ハヤテはシリーズ冒頭であんなに酷い裏切りを受けたのに、
と言って納得してしまいます。甘い子です。しかしまだ6歳。親に対して全幅の信頼を置くであろう時期ですから仕方がないとも言えるでしょう。でも―――これでは誰も救われない。
そして、むき出しの指輪はあっさりハヤテの両親の毒牙にかかりました。ハヤテが「とても大事な人にもらった大切な指輪」と表現した指輪を、「落とさないように特別な場所で預かっておく」、そして母の「今日の記念にみんなでおスシでも食べに」。その後ろにある質屋。
――――子どもが「とても大事な人にもらった大切な」と表現したものを、甘言でもって取り上げ質に入れる親――――――
早 /::::l:::l::、:::::、:::::ヽ::、::::::::::::\:::\::::::::ヽヽ::::::ヽ 駄 .く /:::!::::i:::!:::ヽ:::ヽ::::::ヽ::ヽ、::::::::::\:::ヽ:::::::ヽヽ::::::', 目 な. /:l::::!::::ヽ!::ヽ:::::::ヽ:::::::\:::ヽ、::::::::ヽ:::ヽ::::::::!::i:::::::! だ ん ハ:::l:::::、::::ヽ::::\:::::\:::::::\:::`ヽ、:::ヽ::ヽ:::::!:::!:::::l と /:::::::l::::::!ヽ:ヽ::::、:::::ヽ:::、:\::::: \::::::\::::!::::ヽ:!:::i:::l:l こ か !:/!:::::!::::::!::ヽ:ヽ{:::\:::ヽ::::\:::\::ヽ:::::::ヽ!:::::::}!::::l::li| い し j/:::l:::::!:、:::!::ト、:、:ヽ:::::`ヽ{、::::::\::::\{、::::::::::::::::i::!::l:l ! つ な l:i:l::::i::i:、:l::lテ=-、:ヽ、_、::\_,≧ェュ、_、\:::::::::i::li::!::リ : い !ハト:{:!:i:トN{、ヒ_ラヘ、{ >、{ 'イ ヒ_ラ 》\::l::!:ト!!:l::l! : と ヽ i、ヽ:ト{、ヾ ̄"´ l!\ `" ̄"´ |::!:l::! j:ll:! : !::、::::i l u |:::/lj/l:!リ : ヾト、:!u j!/ j|:::リ ヾ! ヽ ‐ u /イ´lハ/ }ト.、 -、ー-- 、__ /' !::// リl::l゛、 `二¨´ / |/:/ rー''"´ト!::i{\ / / !:/ / ^ヽ ヾ! ヽ _,,、'´ / j/
っつーか、これ少年誌に載せていい話なの?
アーたんの怒り。そしてアーたんの真意。
所変わって「王族の庭城」。「一緒に暮らしてもいいって!」と嬉々として報告するハヤテに「行かない」と告げるアーたん。とまどうハヤテに、「親の事は忘れなさい」と言い、さらに言ったのです。
アーたん「私はここを出られないから、せめて、あなたにだけでも誇りと自信を身につけさせて、外で幸せになってもらいたかった」
アーたんのこれまでの行動は、なるほどこういう意図があったのかと納得できるものでした。まあ、アーたんがハヤテに抱いている感情がどこまで作為だったのかはわかりませんが、「誇りと自信を身につけさせる」ための執事の仕事であり剣の修行であったというのは確かに納得がいきます。そして、それを忘れさせないための指輪。
しかし、ハヤテの周りの人間―――正確に言うと、ハヤテを庇護する人間があんな人間だったことで、その意図は崩れ、そして大事な指輪は質に入れられた。
アーたんの怒りはとてもわかりやすく、そして当たり前のものです。でも、「両親を変えることができた」と思ってるハヤテには、それがわからなかった。それが、二人の別れを決定づけるきっかけのきっかけとなったのでした。
ハヤテの「罪」
過去編が始まった178話*2の冒頭のハヤテのモノローグに、このようなものがありました。
今回、このモノローグとまったく同じものが、コマで小分けされてまた載せられています。ひょっとしたら、ここまでが最初ハヤテが見ていた夢で、ここで目覚めて178話の冒頭に繋がるのでしょうか?
さておき、178話がサンデーに掲載された時にこの「罪」という言葉が話題になりましたが、今回これが謎解きされたと考えていいのではないかと思います。すなわち、ハヤテが犯したと思っている罪は、
このセリフなのでしょう。このハヤテの言葉以降のアーたんの怒り、そしてアーたんの言葉。
相手のことを知らずそして何も考えず、自分のことだけを見てきた結果。それがハヤテの「お父さんもお母さんもいないから」という言葉につながり、そしてそれがアーたんを傷つけた。そして、おそらく相当後味の悪い「別れ」を自ら招くことになった―――それが罪なのだと、ハヤテは考えているのではないでしょうか?
まとめ
ハヤテの親のひどさに一層磨きがかかっているように見えた今回は、アーたんの状況がちょっとずつ見え始めた回であったように感じられます。アーたんは「この場所を出ることができない」という設定が明かされた回、そして、アーたんが激しい感情に身を委ねたことで、180話*3の最後に出てきた棺桶の存在がまたクローズアップされ始めた回だとあたしは思いました。後者は来週待ちになりますが、前者の「出れない」という設定はかなり重要で、過去編を読み直した時、ハヤテの軽い「ここを出て外で暮らそう」という言葉がどれだけアーたんに痛みを与えたのかというのを考えることができます。それはとても辛いことであっただろうと。でも、そのつらさをきっと「幸せになってもらおう」と考え、そのための力になることでそのつらさを振り切ってきたのだろうと。
また、もう一つ重要なことは、「出れない」という設定が明らかになったため、作中現在にアーたんが出てこれない可能性がちょっと高くなったということではないかと思います。ハヤテに「あなたがいれば…私は…ここを…!!」という言葉をかけるシーンがありますが、おそらくこの「王族の庭城」は誰かがいなければ成立しない場所ではないかと感じます。だからアーたんは「出れない」、でもハヤテが一緒にいてくれれば「出ることができる」のではないでしょうか。そう考えると、アーたんが作中現在で登場するためには、アーたんの他にこの場所にいる人を作らなければならないことになります。もちろん出すとなれば、畑先生のことですからそういった設定をクリアしてのことになるとは思いますが、これまでのように「単純に」出てくる予想をしにくくなったのではないでしょうか。
いずれにせよ、次週…かその次で過去編は終わりになりそうです。一体二人がどんな別れを迎えるのか、本当に目が離せませんね。