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珍しく寝落ちしなかったので。
キャラクターの生き様と死に様、そしてその受容の軌跡
※冒頭の時点でアニメ以降の部分のネタバレがすでに含まれる上、「続きを読む」以降は最新刊のネタバレになります。また、話の展開上「銀河英雄伝説」のネタバレも含まれますので、ご注意ください。※
田中芳樹の中世ペルシャ風ファンタジー・アルスラーン戦記の新刊がこのほど発売になりました。2年ぶりの新刊、15巻です。
- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/05/18
- メディア: 新書
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作中において、この物語の主人公・アルスラーンを支える戦士たちは、後世「アルスラーンの十六翼将」と呼ばれたと言います*1。アルスラーンの治世を支えた戦士は16人いることが明らかにされていますが、7巻時点で15人揃っていたのに16人になったのは13巻になってからでした*2。そして、13巻のうちに1人減り、14巻で3人減りました。
この作品を書いている作者は誰でしょうか?―――言うまでもなく、田中芳樹です。「銀河英雄伝説」で主役級の多くを葬った俗称「皆殺しの田中」であります。15巻で、十六翼将の誰かが死んでしまうことは読む前からわかっていたことであり、それが、重要な役割を背負ってきた人物であろうことも覚悟の上であたしは読み始めました。同じような心持ちであった方も多かったことでしょう。
まさか、こんなことになるとは。
あたしは未だに、15巻の結末から立ち直ることができていません。
というわけで、久々の更新は、アルスラーン戦記15「戦旗不倒」から見るキャラクターの生き様と死に様の話です。
冒頭にも書きましたが、ネタバレを多数含みますので、既読の方かネタバレ上等の方のみ続きをお読みいただきたく。あと、銀英伝のネタバレも含むよ!よろしくね!
酒場放浪記ならサキさんじゃないだろ!
今週のハヤテのごとく!第517話「サキさんの酒場放浪記」について、Twitterにも書けそうな感想をせっかくなので更新のネタに。
今週のハヤテのごとく!、サブタイトルは知る人ぞ知るテレビ番組、「吉田類の酒場放浪記」だろうと思います。酒場放浪記は、吉田類という詩人のおじさまが、街の居酒屋に入ってお酒を飲みながらお店の人や常連さんとおしゃべりをしているという番組でありまして、普通に普通の話をしている様を楽しむのですが妙にハマる番組であります。
いえ、だから今週のハヤテ、入るのは銀座の高級寿司店じゃないだろ!とか言うつもりは1ミリもありません。だいたい「サキさんの○○」シリーズは全国版と一切関係のない内容じゃないですか。各話タイトルと内容がリンクしてないのが普通じゃないですか。
違うんですよ。
酒場放浪記ならマリアさんだろ…!
お店に行って毒にも薬にもならない(オチもない)話をして管巻いて終わる、それはマリアさんにこそふさわしいだろ…!
ということを思ったのでした。
なお、しばらくしてから、マリアさんはじゅうななさいだったことに気づきました。マリアさんじゅうななさいはさんじゅうななさいじゃなくてじゅうななさいなんでしたよね、もうこんなネタ使わないから忘れてましたよ。すっかり成人済みのつもりでしたよ。
だいたいマリアさんこないだ久々に本編に出て賭けに負けてたよね、などと本編のことを忘れてないアピールをしつつ、半年ぶりの更新としたいと思います。
あ、今週のハヤテ、なんかすごく身につまされるというか、身に覚えがあるというか。そういう点で身近でいい話だったし、ワタルくんとサキさんの関係が良好なようで何よりだなという普通の感想を持ちました。恋愛的なさらなる進展を期待したいところです。ほら、主人公がアレだから…。
ところで、さっきから下の階で物音がする気がするんですけど、気のせいですかね。一応見に行ってこようかな…?(フラグ)
寒中お見舞い申し上げます
いい加減更新しないといけない気がする
— 井上きよ(実在?) (@kiyolive) 2016, 1月 4
1月4日に上記のようなことをつぶやいておきながら、今日はもう1月27日ですね。更新するする詐欺、よくない。
子どもも大きくなってきたし、もうちょっと更新する頻度が増えればいいなあと思っております。
遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
504話と505話の落差が「ハヤテのごとく!」だよねとか言ってみたい。
ぷらずまだっしゅ!が昨年末以来のハヤテ記事で更新したということに触発されて更新する約半年ぶりの明日はきっと。です。よろしくお願いいたします。
さて、9/2発売の週刊少年サンデー40号から畑先生の新連載「アド アストラ ペル アスペラ」が始まりまして、それに伴って同号の「ハヤテのごとく!」第505話は前回の王玉関連の設定開示を総スルーする番宣回となっていました。
この番宣回、正直言ってすげえおもしろかった。おもしろかったんですよ。触発されたぷらずまだっしゅ!でも触れられていますが、自虐分多めとはいえキレのあるネタが多数詰まった回だったと思います。今本編で何やってるか忘れさせてしまうような、妙なパワーを持った回でした。いずれいじるであろうと*1思われていた新編集長のネタを直球で投げる冒頭から始まり、初期を彷彿とさせる展開を経て微エロで終わるという賑やかでスピード感のある回で、久米田先生のノリに近い*2と言って差し支えないお話だと思います。
一方で、前回(504話)の王玉関連の設定開示を読みながら思っていたことがありまして。3年ほど前に同人誌「ハヤテのごとく!のお茶会」で畑先生にインタビューをした際に、こんなことをおっしゃっていたのです。
でも、特に週刊連載っていうものはそういうものだと思うんだけど、今読者が見ている最新の話は、2年くらい前に考えていたもので、今考えているものは、2年くらい先に描くであろう話になるんです。
ハヤテのごとく!のお茶会 P40から抜粋
この発言は、伏線とその回収についてお話を伺っている時にあったものです。インタビューは2012年5月に行い、それから早くも3年が経過しました。この頃考えられていたのが何なのかはもちろん我々にはもちろんわからないところではあります。しかしながら、この時点で、この王玉関連の設定開示をこのような形で行うことを予定していたとすれば、これは大変なことだなあと思うのです。ここにどれほどの積み上げがあったのでしょうか。そして、どれほどの予定変更があったのでしょうか。
連載開始から10年以上積み重ねられてきた物語が見据える着地点はまだ見えませんが、とはいえ終わりを予兆させるお話の1つであったということは言えるでしょう。
この504話によって、王玉に関係する多くの情報が読者に開示されました。長く読んでいる人ほどこういった情報開示により得るおもしろさは大きく、いわゆるストーリーマンガの方法論です。その一方で、505話のような単発のギャグ回がシリーズの途中で挟まれるという「ハヤテのごとく!」でありがちな展開は、ギャグマンガの方法論(というか枠組み)の中で作られていると見てよいでしょう。ここの落差と、そしてこの展開そのものが「ハヤテのごとく!」という作品の「らしさ」の1つの発露であり、(失敗もありつつ)作品のおもしろさと継続につながっているんだということを思った2週間でした。
あ、新連載は来月の掲載待ちですが、ロボットものの王道を歩きそうだなあという印象を持ちました。
以上です。(オチがない)
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更新をほのめかすと嫁が時間をおいて更新を薦めてくる環境です。
畑先生「らしさ」の発露
今週の「ハヤテのごとく!」を読んで持った感想を昨日Twitterにpostしていたのですが、なんとなくちゃんとテキストにまとめてみたくなったのです。
そういえば今週のハヤテ、すっごい「漫画家・畑健二郎らしいなあ」と思いました。(感想)
— 井上きよ(実在?) (@kiyolive) 2015, 1月 29
具体的に言うと、今週のハヤテ読んで132話あたりの「タマの家出回」みたいな感じで、本筋とはまったく関係なさそうなギャグ回(しかも、キャラ的な需要も少なそう)が、一話完結が多めの時期にブッこまれるところ。
— 井上きよ(実在?) (@kiyolive) 2015, 1月 29
こういう(ストーリー的に)毒にも薬にもならない話がきてびっくりしてるところにこっそり伏線が仕込まれてそうな感じ(仕込まれてないこともある)、畑先生好きですよね?という。
— 井上きよ(実在?) (@kiyolive) 2015, 1月 29
日本語がつながってないところとかもあるので、文字制限のないブログで広げてみようというところです。
今思い出す「タマのメイン回」
今週のハヤテのごとく!第479話「ごはんはおかず」を読んで思い出したのは、第136話〜137話(2007年の夏)で描かれた「誰得なのかさっぱりわからないタマのメイン回」でした。この「タマのメイン回」はまだあたしが感想をまとめていた頃。あたしはたくさんの感想を読み、「感想が書きにくい」という言葉にたくさん遭遇したものです。
ですので、感想ブログ的には大変扱いが軽くなりがちな回ではありましたが、その中には「タマのメイン回」という(需要の少なそうな)話の中に伏線が仕込まれていました。具体的には、
- 公式ガイドで存在が示されていた「ナギの3人目の友人」の存在が初めて語られた
- ハヤテ達が後に泉の家へ行くことになる(そして運命の再会を果たした)きっかけとなった、泉のケータイ紛失事件が起きていた
の2点でしょうか。
「タマのメイン回」は、第123話のいわゆる下田編が終わって、ホワイトデーがあり、喫茶ひまわりが初めて登場し…というこの後のバイト編へ向かう合間の回でした。だからなのか、この話の中では本筋と言えるであろうものは一切進みません。単にタマが間違って外へ出てしまい(136話)、屋敷になんとか戻る(137話)というギャグ回です。『バクマン。』的に言うと「息継ぎの回」と言える話ですが、その中にもしっかり仕込んでましたよという、「盛り込むのが好き」であろう畑先生らしい回だったと感じています。
翻って今週「ごはんはおかず」
さて、ここで今週のハヤテを改めて見てみると、そこはかとない共通点を感じるのです。息継ぎの回と言えるかどうかは今後も見て、と思いますが、内容としては文、シャルナという下級生組によるギャグ回です。新たにアレが投入されましたが、本筋(綾崎ハヤテを主人公とする物語)に直接的に関係しているとは、現時点では到底思えません。しかしながら、今後生徒会長になることが示唆されている文の周辺に新たなキャラクターが増えたという、なんだか活用できそうなピースが増えている。
先の「タマのメイン回」でいくと、泉のケータイ紛失事件のような存在があるではありませんか!
というわけで、今週の「ハヤテのごとく!」は、ある種畑先生らしい、ただのギャグ回じゃない話かもね!と思ったのでした。
蛇足
ところでタマとシラヌイは何をしているんでしょうか?