明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

魔性の子

魔性の子 (新潮文庫)

魔性の子 (新潮文庫)

十二国記の外伝的性格でありながら、シリーズのどれよりも早く刊行されたのを今さらながらようやく読了しました。
魔性の子」を先に読むか、「黄昏の岸 暁の天 十二国記 (講談社文庫)」を先に読むかによってまったく読み方が変わってしまう話。「黄昏の岸 暁の天」を先に読んでいる僕にとっては、陽子たちが泰麒を探している間、こちら側*1において泰麒はどうしていたのか、一体どれだけのことが彼の周りに起こっていたのか、といったことに自然と目がいくのだと思います。ところが先に「魔性の子」を読んでいたとすれば、「風の海 迷宮の岸 十二国記 (講談社文庫)」によって、「魔性の子」の中で高里が神隠しされていた空白の一年間が明らかにされ、「風の万里 黎明の空(上)十二国記 (講談社文庫)」で「風の海 迷宮の岸」で順風満帆のごとく船出した載に何か変事があることを示され、そして最後に「黄昏の岸 暁の天」によって十二国記シリーズと「魔性の子」が完全にリンクするという、壮大な伏線となる話だったということになります。

なんてもったいないことをしていたんだ。心底後悔しました。僕のように十二国記を読んでいてまだ本作を読んでいない、という人がいたら、とにかく一度読むべき。

読みながら、十二国記の新作まだかなあ…とつくづく思ったのはここだけの話です。

*1:つまるところ、現代日本