ハヤテのごとく!第180話:推定6歳児による「事後」と、新たな展開
先週はお休みしてすみませんでした。(挨拶)
さて、過去編も3回目に入り、いよいよ佳境に入ってきた感のある今週のハヤテのごとく!「第180話『THE END OF THE WORLD3 天照の箱庭』」の感想レビューをいってみたいと思います。
推定6歳児による事後。
今回の過去編はおよそ10年前のこと。10年前といえばハヤテはおよそ6歳、幼稚園児です。そんなハヤテと同い年のアーたんはハヤテより大人びていて、前回のラストでハヤテにキスするという衝撃の展開を迎えました。
「ほっぺにチュッ」などがあったハヤテのごとく!ですが、本当の意味でキスが登場したのは実にこれが初めて*1。そんな「事件」の後から始まる今回は、衝撃の展開をさらに展開させるものでした。
こっ、これはもしや……事後描写!
事後描写とは説明するまでもないかと思いますが、性行為そのものを表現できない表現媒体で性行為が終わった後を表現することで「こいつら…ついにヤリやがったな……!!」と読者に伝えるものであります。通称朝チュン。朝起きたら隣に裸の女の子、そして自分も裸とか、朝起きたら裸の女の子が自分の顔を見ていて、起きたらすっげーかわいい笑顔で「おはよ♪」って言ってキスしてくれるといったのが代表的なものです。これがエロゲだと主人公が朝立ちしてるのに気づいて(ryという展開に突入です。本当にありがとうございました。
そんな事後描写、最近記憶に新しいのはメインヒロインにちっとも萌えないことで有名で、今でもメインヒロインより唯ちゃんの乳首の方が印象的だった涼風でしょうか。少年誌の巻頭カラーでギシアン→朝チュンという伝説。明日はきっと。は瀬尾先生が今度はどんな伝説を作ってくれるのか今から期待しています!
―――脱線しました。そんな事後描写を感じさせる今回冒頭のハヤテのごとく!。6歳時ですからさすがにヤっちゃうとかはなかったと思いますが、
アーたん「昨日たくさんしてあげたでしょ!!」
こっこれは……前回ラストでキスをしてから、一緒のお布団に入ってアーたんがキスしまくったということを指し示すものです。恐るべし幼女ですこの天王州アテネは。
ハヤテの執事業スタート。
ということで、前回、ナギがハヤテに言ったようなノリかはわからないけれども「私の執事をやらないか?」*2というデジャヴにあふれた展開がありました。
箇条書きにすると、
- まずはお掃除
- 「言葉の端々に笑えない苦労がにじむ子」
- 「私が仕立て直した」
いずれも、執事に任用された最初の日に、マリアさんに言われたあるいはしてもらった行為とかぶってきます。順番こそ違いますが、ハヤテの三千院家における初仕事はやはり掃除でしたし、一部屋終わってマリアさんのチェックを受けたときにナレーションで「言葉の端々に…」というのが出てきましたし*3、ハヤテが作中現在において着ている執事服はマリアさんが仕立て直したものでした。*4
違うのは、最初ハヤテが失敗すること。ただそれだけです。
神さまの真似事
バケツひとつちゃんと運べないハヤテを責めるアーたん。そんなアーたんにたいして謝ったあとでハヤテは言ったのでした。
ハヤテ「だけど僕…不器用で弱いし力もたいしてないから…」
10年後のハヤテからは決して出てこないであろう言葉です。作中現在のハヤテからは考えられないことですが、10年前のハヤテはまるであたしのように弱かった。とても信じられませんが、しかしバケツの水をあのようにひっくり返す人間は確かに非力でしょう。そんなハヤテに思うところがあったのか、アーたんはハヤテに上だけでいいから服を脱ぐように指示し、そして不思議な力を使うアーたん。
アーたん「本来とても強い体をしているの。」
アーたん「だから私が淀みを消して強制してあげるの。」
アーたん「今後、鍛えようによっては…すごい力を…あなたは手に入れることができるわ。」
この言葉、そしてアーたんの言う「神さまの真似事」について、畑先生はバックステージでこのような解説を加えました。
某・龍の玉の英語読み漫画で言うところの最長老様のやったあれと同じ感じです。
ようするに内なる力を解放してあげた感じ。
一巻の巻末のハヤテのキャラクター説明にある「あったりなかったり」の部分がまさに今回のこれです。
でも基本的には今のハヤテの能力はその後のバイトによるものですけどね。
なるほど、最長老様が●飯やクリ●ンやデ●デの潜在能力を引き出したのと同じということですね、わかります。
しかし、この「王族の箱庭」においてアーたんが身につけたというこの能力。非常に興味深いですね。これは「王族の箱庭」という場所そのものが、「ここではないどこか」にあるのではないかという推測を補強する根拠になるような気がします。
ハヤテが親に虐待されていた可能性
ちょっと戻りまして、アーたんが力を行使する直前。
あざや傷がたくさんあることを指摘されて驚くハヤテ、そしてその理由を
ハヤテ「えっと…その…僕よく…こ…ころぶから…」
とするハヤテ。なんだか虐待された子どもが、それでも親をかばっている情景に見えて仕方ありません。そして、その可能性を考えたとき、「あの親ならありえる…!」と思わせるだけの印象が与えられていて、正直ここのコマを見ていてぞっとしました。そう考えると、2話前のハヤテがより一層不憫に思えてきます。
「やればできるじゃない」
アーたんから掃除を教わり、
とほめられたハヤテは、そこでおそらく初めて気づいたのでした。
誰かにほめてもらいたかったのだ、と。
ほめられた体験のないハヤテ。子育てはほめることとしかることの両方があって成り立つものではないかとあたしは思いますが、ハヤテはそのうち少なくとも片方はされたことがなかった。虐待の可能性もあり、かつほめられたことのないハヤテ。そんなハヤテが過去編においてもほぼ安定した素直な性格を維持できているのが驚きです。それだけに、このアーたんの言葉は相当な影響をハヤテに与えたのではないかと思います。アーたんがハヤテに与えた影響というのは数知れないと思いますが、この「初めてほめられた」という体験は、大きな影響のひとつなのではないかと思いました。
入ってはいけないところに入る執事。
1巻でハヤテは、入っては行けないナギの書斎に入り、一度追い出されていました。それを思い出すような今回ラストの展開でした。張り切って掃除をすると宣言して、注意事項を最後まで聞かずに飛び出し入ってはいけないところに入る―――。ここでも1巻の反復が行われています。そして、入った先は、書斎ではなく箱―――いや、棺桶のある部屋でした。
そしてその背後に立つ少女。風雲急を告げる次回!どきどきですね!!
やはり、過去編はシリーズ全体を通して見ないとだめだなあ。
随所に伏線が貼られてて考察したくなることこの上ないのですが、しかしどこかでひっくり返されそうな予感もあってなかなか踏み込みにくいですね。やはり様子見していくしかないのでしょうか。それもちょっと寂しい気がする。