明日はきっと。

本やマンガのレビューなど。

ハヤテのごとく!第177話:今振り返る出会い。

畑先生はwebサンデー「まんが家バックステージ」を毎週更新する*1、ほぼ唯一と言っていい方*2です。そんな畑先生のバックステージは、日常や告知が書かれた前半部分と、その週に掲載された本編のネタバレを書いた後半部に分かれています。
さて、今週のハヤテのごとく!「無限に続く永遠は有限に区切られた四角の中に。第177話『それは、光で時を切り取る機械』」ですが、バックステージで畑先生は、今回は「次週から始まるシリーズの布石である」と断った上で、次のシリーズについてこのように述べています。

なぜなら相変わらずのゲーム的なたとえで言うと
来週からのシリーズはいわば強制イベント。
もしくは強制的に発生するムービーシーンみたいなもので
これをやらないとエンディングに辿り着きません。

畑先生バックステージVol.185

次週開始のシリーズは、エ●リスがセ●ィロスに…とかま●●ちゃんがB●T●に…といった回避不能イベントの類であることが宣言されました。それではそんな次週への布石をとしての今回をを見ていきたいと思います。

そこはハヤテとナギが出会った場所

前回ハヤテがヒナギクにセクハラをした後の帰り道。通りかかった場所は、とある公園でした。



負犬公園。


その公園の自動販売機の前。そこは、ハヤテとナギが出会った場所でした。

作中は現在4月、ハヤテとナギが出会ったのは12月25日です。それからまだ4ヶ月しかたっていないけれども、懐かしさを覚える2人。そしてそれと共にナギは思います。時が経つにつれて忘れていくことも多い、ということを。



思い出を形に残したい。そんな思いを実現させるためにナギが屋敷に帰ってから取り出したのは、ライカM7でした。2002年発売のフィルムカメラですので、作中時間における3年前。ナギは10歳ですし、マリアさんは14歳。…いったい誰が買ったんでしょうか?あ、クラウスがいましたね。

橘ワタル13歳、カメラについてアツク語る。

マリアさんにライカM7を向けたら重かった、ということで、マリアさんオススメのライカCMを手にハヤテとナギは写真撮影の旅に出かけました。まずやってきたのは、ワタルの家。「写真に凝ってみようと思って…」と言ったナギに対し、いつぞやのメイド服*3の時のようにアツク語り出すワタル。




そしてメイド服の時と同じように、ナギに「マニアックだから伊澄にモテない」と言われてぶち切れるワタルでした。なんだか自分のことを言われているようで胸が痛いです。

自分たちと縁のある人を巡る旅

ワタルの家を出て向かった先は咲夜と伊澄のところ。そこで咲夜の持っているデジカメで撮影したら、見事な心霊写真ができあがったのでデータ削除というお約束な展開を挟み、続いてさっきまでバイトしていたはずの喫茶どんぐり。西沢さんも写真には凝っている、と告げて出てきたのは






………



あたしがこのコマを見た時、脳内で新谷良子さんの声が再生されました。もう末期です。


さて、絶望先生ネタはこのくらいにして、引き続き喫茶ひまわりにはヒナギクが登場。いないだろうと思っていたハヤテがそこにいるので顔を真っ赤にして反応するヒナギクがかわいいのですが、それはさておいて紆余曲折の末4人の写真を撮影することに。男の子的にはサイコーのシチュエーションですが、





気のせいじゃなくて完全に死亡フラグです。本当に(ry

キーワードは「ずっと一緒」

お屋敷に帰ってきて、マリアさんと3人の写真を撮影した後。ハヤテとのツーショット写真は撮らなくていいのかと尋ねられたナギは、「それはいつでも撮れる」と断言しました。そう、それは「ハヤテとナギはずっと一緒」だから。ナギにとっては自明なこの言葉は、ハヤテにとってのキーワードでした。
172話*4で挿入されたハヤテとアーたんの回想において、アーたんから「ずっと」一緒にいることを求められていたことが臭わされ、そしてその後に別れが描かれていました。そこで語られていたのは、ハヤテが現在なら間違いなく間違いであるとわかる選択をし、アーたんと別れたのだということ。つまり、アーたんとおそらく「ずっと一緒にいること」を約束していたにも関わらず、ハヤテはそれを反故にした経験があるということです。それがナギの言葉で引き起こされ、そして





この複雑な表情につながったのではないかと思います。

さて、一方のナギですが、ずっと一緒にいるはずであった姫神との別れがあったにも関わらずのこの言葉です。ナギにとってのハヤテとナギにとっての姫神とで立場はおそらく違っているでしょうが、しかし姫神がいなくなってからふさぎ込んでいたというわりにはそれが感じられないというのが気にかかります。

そして次回へ

さて、冒頭で畑先生のバックステージでのコメントで、今回は次回への布石であるということが明らかにされています。振り返ってみると、今回はカメラという畑先生の趣味丸出しのジャンルを使って、「これまでハヤテが出会った人たち」の写真を撮り歩くという行為で「思い出を巡る」という形式を取っていたことがうかがえます。そして最終ページの煽りが、今回の意図を知らせています。

ずっと一緒という願いの言葉。願い通りになるとは限らない言葉。次号、巻頭カラー……ハヤテの過去。

ナギと出会う以前のことが断片的にしか語られないハヤテ。謎に秘められた過去を紐解くための布石として畑先生が選んだのは「ハヤテがこの4ヶ月で出会った人と会う」ことでした。ひょっとして、これはあたしたち読者に対しての、



「ハヤテの過去を知るには、この4ヶ月のことを覚えてないとダメだよ」


というメッセージなのかもしれません。
だからこそ、畑先生はバックステージで

愛歌が抜けてしまいましたが、一応この漫画において
現時点で重要な女性陣は一通り網羅した感じです。
かなり駆け足になりましたが。

畑先生バックステージVol.185

とおっしゃっているのかもしれません。だって、このマンガはラブコメ要素満載のギャグマンガだから。


いずれにせよ、次回からのシリーズに期待したいと思います。
畑先生の思い描く唯一のエンディングがあたしたちの許に届くことを信じて。

*1:正月でもお盆でも関係なく

*2:仲間だった大塚先生が今週最終回を迎え、バックステージの更新は先週で終了したので

*3:134話(13巻5話)「もしも僕が死んだならハードディスクは中身を見ずに破壊して」参照。

*4:「予定は未定」